シルヴァンに萌えました。以上
_____え?短すぎ?あ、はい。かしこまりました。
という冗談はともかく、本当に底抜けに明るくて元気でかわいいマルティナちゃんの人柄と言動に、周りの人たちが次々と彼女を慕い、その進む先に思い描く未来を手伝おう、助けようとしてくれる絆模様が激アツの物語だと思えました。
※以下、ネタバレを含みます。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
天賦の才を持つ人は、どうしても他の人に妬まれ、疎まれ、あるいはときとして望まぬ悪意への加担を強いられたりするものですが・・・このお話においては、それはガザルの強硬派と初期のシルヴァンさんだけに限定されていましたね。初めに敵役だったシルヴァンさんがマルティナちゃんを大好きになっていくことで、どんな悪意や敵意も、その人が生きてきた過程で得た大切な価値観があり、それに根付いた「偏見」であるため、簡単に否定せず、その人に向き合っていけば、いずれどんな人とも友人になれるという希望を見せてくれました。
対して、ガザル強硬派の人たちは、そんなマルティナちゃんの人柄を近くで見ていたにもかかわらず、「政治的に利用できる」「それによって出世できる」という、彼女の人柄や人格を尊重せず、そこに付随する、具体的な利用価値しか見出せませんでした。それだけ生活が困窮していたとか、綺麗事じゃ語れないほどに逼迫した差別があったとか、深読みすると、正直私は単純な善悪では語れないなと思います。
とはいえ、マルティナちゃんの人柄に触れて、自分がかねてより企てていた悪意ある計画を諦めることもできたはずなのです。たとえそれを信じて従ってきた部下たちに謀反を企てられるリスクがあったとしても、信じようとする勇気があれば、できたことです。
なんといっても、名前がガザルなので、明らかにガザから由来しているだろうと察することも難しくありません。国際金融資本が脱税を続けていくためには、司法取引や法的追求から逃れるために、有事の緊急状態、つまりは紛争が必要です。かといって戦時国際法に当て嵌められるのも面倒なので、あくまで彼らは宣戦布告の戦争ではなく、紛争にこだわります。そうした限界的な生活を、そことは全く関わりない遠くにいる一部の資産家たちの思惑によって強いられてしまっている人たちの苦しみを思えば・・・おそらく、ガザルも、大変に辛い思いをしていたのでは無いでしょうか。たとえば、作中で出てくる公用語・リール語を上手に扱えないために、偏見や差別があったとか。それに基づく古くからの慣習で、他国に比べて、外貨建ての貿易や関税が大変に重く苦しいものであったとか。
そうこう鑑みると、そういう、偏見故の苦しみに共感するロランさんだからこそ、闇属性を使ってマルティナちゃんを助けに向かった際、ガザルの強硬派に対して、強い怒りを示したのだと思います。その偏見は、過去の事実の積み重ねのために簡単には無くならないことを理解しつつ、それでも諦めずにいつかはその地位向上を認めてもらいたいと・・・暴力によってではなく、功績と信頼を重ねることで努力し続けたロランさんにとって、安易な暴力と略奪で自分たちの地位を向上させようとする行為は許しがたかったのでしょう。
大変に教養に満ちた示唆が含まれていると思えました。原作者の蒼井美紗さんご自身もまた、読書が大好きで、さまざまな知見を持っていらっしゃるのでは無いかなと思います。
そして、繰り返しになりますが、マルティナちゃんがかわいい。笑 しばしばロランさんが彼女の頭を撫でるシーンが描かれることや、本を前にした目の輝きが、ご馳走を前にした犬のようだと例えられていたことによろしく、蒼井美紗さんは、ご自身の愛犬を連想しながらマルティナちゃんを思い描いたのでは無いだろうかと思えました。笑
以下、私の個人的配役です。
マルティナ:進藤あまね or 大野柚布子
ロラン:逢坂良太
シルヴァン:谷山紀章 or 木村良平
ナディア:日笠陽子 or 沼倉愛美
ソフィアン:遊佐浩二
他にも数多くの素晴らしいキャラクターたちがいますが、はっきり意識できたのは、この人たちでした。ヤァ〜、ほんと、イイですねぇ・・・。何やら後書きを読みましたところ、コミカライズも進行中とのことで、そちらも合わせて楽しみでございます。
大変に素晴らしい物語です。皆さんもぜひどうぞ!
緋原ヨウさんのかわいらしいイラストにも感謝!