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思想犯として逮捕され、死刑を宣告されながら、刑の執行直前に恩赦によりシベリア流刑に処せられた著者の、四年間にわたる貴重な獄中の体験と見聞の記録。地獄さながらの獄内の生活、悽惨目を覆う笞刑、野獣的な状態に陥った犯罪者の心理などを、深く鋭い観察と正確な描写によって芸術的に再現、苦悩をテーマとする芸術家の成熟を示し、ドストエフスキーの名を世界的にした作品。
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Posted by ブクログ
この作品は心理探究の怪物であるドストエフスキーが、シベリアの監獄という極限状況の中、常人ならざる囚人たちと共に生活し、間近で彼らを観察した手記なのですから面白くないわけがありません。あのトルストイやツルゲーネフが絶賛するように、今作の情景描写はまるで映画を見ているかのようにリアルに、そして臨場感たっ...続きを読むぷりで描かれています。 この小説はドストエフスキー作品の中で『罪と罰』と並んでその入り口としておすすめな作品です。
ロシア文学のイメージは、なんだか暗そうで苦しそうと自分勝手に思っていた。そして、その勝手なイメージから、ロシア文学を避けていたのだが、この本を読んで全く違っていたことがわかった。 ここではドストエフスキーが4年間シベリア流刑での体験をもとに、監獄での暮らしや人々の様子などが描かれている。 日々の様子...続きを読むをつづったものや人物に焦点を当てたもの、イベント的に起きたことなどについて正確に緻密に描かれている。監獄という特殊性から興味が湧く部分もあるが、多くは普通の人物がどのように生活しているかを見るのと変わらないのかもしれない。 表現が非常にリアリスティックで、それでいて愛情に満ちた文だった。人間観察が緻密であり、その様子から考えられる心情や、監獄であったできごとを描いているが、決してドラマチックではない。また、貴族と民衆の溶け合わないことを実に実感をもって、そしてそれを胸苦しい思いで描いてもいる。 作家が人間に対して愛情をもち、生き生きとした人物を描く作家として確立するにはこのような人間観察をできるかどうかにかかっているのかもしれない。
ドフトエフスキー後期の傑作群の源泉であり、彼個人の人生における最も重要なターニングポイント。 一般の人々が当然経験しえない異常な状況下にこそ、彼の文学の素材があり、それこそ啓示とも言える監獄での強烈な出会いと閃きが、カラマーゾフや罪と罰などの大作を作り上げた。 そういうの考えるだけでも泣けてしまう。...続きを読む 文章も読みやすくユーモアも点在してて相変わらずリスペクト。
ドストエフスキーが実際にシベリア流刑に処されたときの体験を元に書かれたのが本書らしい。 シベリアでの囚人たちの生活が見事に書かれていてとても興味深かった。 やはり人間観察がうまい。 自分がどんな立場で、誰に愛され尊敬されているのか、誰に憎まれ嫌われているのかなどもしっかりと把握していたようだ。 笞...続きを読むの過酷さ、不衛生な環境など辛い面ももちろん多かったが、演劇などの催し物でみんな楽しげにしてたり、監獄だからといって一定して暗いだけではなくさまざまな人間関係や浮き沈みがあるんだなぁと知れた。 小説というより記録の色合いが強いので、難しく深読みしたりする場面が少なく、今まで読んだドストエフスキー作品よりすんなり読めたようにおもう。
ドストエフスキーが四年に渡る獄中生活を元に書いたルポタージュ。架空の人物による手記の体裁だが恐らく作者の体験した事と思われる。あらゆる囚人との出会いが文豪の糧になったのは間違いなく登場してくる囚人達のリアリティは凄い。個人的には妻殺しのエピソードと犬や山羊の話が印象的。少佐の末路などは時代を超えた教...続きを読む訓とも言える。 傑作。
読むのは3回目。今回始めてこの作品の重要さに気づいた。ドストエフスキーは獄中体験からその後の創作のインスピレーションを得ていたのだと思う。たとえばキャラクター。彼の作品に登場するキャラの多くは、おそらく獄中にいた囚人をモデルにしている。…という発見に興奮していたものの、訳者解説に同じことが指摘してあ...続きを読むってがっかりした。
トルストイも絶賛した本書。 だからというわけじゃないけど、これは万人受けしやすい内容で、私ももれなく、いい作品だと思った。 他のドストエフスキーの作品は癖があるので、かなり好き嫌いが分かれそうだけど(私は好きな方)、この作品は誰でもとっつきやすいのではないかと思う。 シベリアに流刑されたドスト...続きを読むエフスキーの獄中実体験を基に書かれている。 罪をおかし、足枷をつけられ何年も狭い世界で耐えること。 そこには耐えるために、目的を持ち、喜びを見つけ、足枷を外せる日を待つ。 最後のシーンは感動する。 また読み返したくなる作品だ。
囚人でもクリスマスには神聖な気持ちになるし年に一度の特別な日を子供のようにはしゃいでいるのがなんか泣ける。超閉鎖空間で暗くて自由が無い生活、独自の雰囲気と慣習、でも強い個性のさまざまな囚人たち…面白い。囚人病院で足枷をしたまま死んでいった人が印象的、囚人達の殺人の思い出話や身の上話が沢山、足枷を取っ...続きを読むて出獄するラストシーンは最高、卒業感ある。辛い生活の中でも希望を捨てない著者の過去を追体験した。
ストーリーというより、エピソードの描写力が神がかっている。ありありとその情景、皮膚感覚、味わい、歌声が迫ってくるのである。 動物、演劇、風呂、病院‥どれも迫真だ。 一人一人の人物描写もまるでそこにいるかのようだ。 貴族と民衆の溝の深さの描写も凄まじい。 随所に織り込まれる、犯罪や刑罰に関する...続きを読む哲学的考察にも唸らされる。
人間の本質について一つの答えが書かれていたように受け取った。心理の書き込みはやはり非常に緻密で、この作品の場合は形而上学的というより写実的であるし、五大長編より少ないページ数なのに、読み込むのにはやはり相応の体力がいった。これがドストエフスキーの転機になった体験かと思うと、一文字余さず特別な文章のよ...続きを読むうに思えて、読んでいるあいだ中ずっと襟を正す気持ちだった。 それから、罪と罰、白痴、悪霊、カラ兄の原形が垣間見える人物が出てくるとなんとなく嬉しい気持ちになった…
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ドストエフスキー
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