日本航空(JAL)は12月10日、機長2人(59歳男性、56歳男性)による過度な飲酒が原因で、1日のオーストラリア・メルボルン空港発成田国際空港行きの便で3時間以上の遅れが生じたと発表した。103人の乗客に影響が出た。
就航当日、機長のうち一人は体調不良を訴え、出勤時間を1時間遅らせた。もう一人の機長は時間通りに出勤したものの、検査で基準を上回るアルコールが検出された。これらの複合的な要因で飛行機の出発を遅らせていた。その時点で、機長2人の過度な飲酒をJAL側は認識していなかった。
機長2人は滞在先でスパークリングワイン2杯、ボトルワイン3本を注文したという。
JALは社内規定で、飛行勤務開始時に酒気帯びとならないよう飛行開始12時間前に体内に残存するアルコール量を4ドリンク相当以下に自己を制限するよう定めている。4ドリンクとは「ワインボトルに換算するとハーフボトルくらい」(JAL執行役員運航本部長の南正樹氏)。仮に2人が注文した酒を飲み干したとすれば、社内規定を大きく上回る飲酒をしていたことになる。(参考記事:JAL、ANAのパイロット飲酒問題、「性悪説」転換でなくなるのか)
検査結果は「誤検知」と主張
乗務前の検査でアルコールが検出された機長は当初、検査結果について「誤検知だ」と主張していたという。南氏によると「直前の食事やマウスウォッシュなどが影響して誤ってアルコールを検知する可能性がある。機器自体の誤作動もよくある」。当時も機長の主張を信じ、周りにいた乗務員らも誤検知という認識で検査を繰り返していたという。
だが、機長は飲酒の事実をその時は明かさず、結果として隠蔽する形となっていた。
JALは当該便の成田到着後、「3時間も遅れてしまうほどの体調不良とはどのようなものなのか、現地でのアルコール検査手順についても何か問題があったのではないか」との疑問を持ち、機長らへ聞き取り調査を実施した。すると、機長らは基準を超える量のアルコールを摂取したと明かした。JALはその後も社内で聞き取り調査などを重ね、6日に国土交通省航空局に報告した。
【初割・2カ月無料】お申し込みで…
- 専門記者によるオリジナルコンテンツが読み放題
- 著名経営者や有識者による動画、ウェビナーが見放題
- 日経ビジネス最新号12年分のバックナンバーが読み放題