マッキンゼーが見通す小売の新潮流「3つの懸念」とは

櫻井 康彰(McKinsey and Company パートナー)
Pocket

毎年恒例となったマッキンゼーによる短期集中連載が次号2月1日号より始まる。今回は、そのキックオフとして、小売業界を取り巻く環境を整理し、日本でこれから起こりうる3つの懸念を提示。連載を通じてその要因と解決策を導いていきたい。

取り巻く環境が激変!

 国内主要食品小売企業の2024年3-5月期の営業利益は対前年同期比7%増にとどまり、利益成長率は鈍化した。円安、インフレに伴う原材料高騰によるコスト構造の悪化が要因だ。食品小売企業が中長期で利益成長を実現するうえで、事業構造の転換に迫られている。

 それは「質の向上」と「低価格」の双方ないしいずれかを武器に、利益成長してきたトップの食品小売各社も例外ではない。

スーパー イメージ
小売業界を取り巻く環境を整理し、日本でこれから起こりうる3つの懸念を提示する(i-stock/Hispanolistic)

 そこで、海外で実際に起こった事例をもとに、将来日本で起こりうるシナリオについて、以下で言及していきたい。

懸念❶デジタル・AI変革の停滞

 「『デジタル・AI変革』が必要だ」と言われて久しい。とくに生成AIの登場後、多くの企業で

続きを読むには…

この記事はDCSオンライン+会員限定です。
会員登録後、DCSオンライン+を契約いただくと読むことができます。

DCSオンライン+会員の方はログインしてから閲覧ください。

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2025 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態