大和ハウス工業、積水ハウス、住友林業のハウスメーカー3強は、縮小の一途を辿る国内市場をカバーすべく、米国事業に活路を見出している。2025年は国内ハウスメーカー3強が米国事業で激しく火花を散らしそうだ。特集『総予測2025』の本稿では、ハウスメーカー3強がしのぎを削る米国事業の行末を占う。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
積水ハウスが巨額買収で
米国事業トップに躍り出る
大和ハウス工業、積水ハウス、住友林業のハウスメーカー3強が2025年、主戦場を米国に移して激しいシェア争いで火花を散らすことになりそうだ。
人口減少に伴って縮小が余儀なくされている日本国内の一戸建て住宅市場は今、“四重苦”にさいなまれている。四重苦とは、土地代の高騰、建築コストの上昇、実質賃金の低下、そして金利の上昇だ。
各ハウスメーカーは、折からの土地代と建築コストの上昇を価格転嫁していたが、一戸建て住宅の実需を支えるファミリー層がその価格上昇に付いてこられなくなっていた。
そこへ金利上昇が加わり、住宅ローン金利の負担増への不安感が増し、ファミリー層の購買意欲をさらにそぐことになった。国土交通省の「住宅着工統計」によると、持ち家の着工戸数は21年12月から24年9月まで、34カ月連続で前年比マイナスに陥っていた。
こうしたことから、ハウスメーカー3強は海外事業の展開に注力し、特に需要が堅調な米国事業に活路を見いだした。
米国事業で先行していたのは、03年に進出した住友林業だ。大和ハウスは1976年に進出したが、84年に撤退。17年に再進出した。積水ハウスも17年に米国事業に参入。一戸建て住宅供給戸数では、住友林業が1万戸を突破し、大和ハウス、積水ハウスをリードしていた。
出遅れていた積水ハウスは24年1月、大勝負に打って出た。約7000億円もの巨額を投じて、米国のハウスビルダー、M.D.Cホールディングス(以下、MDC)を買収したのだ。これにより、住友林業、大和ハウスを抜いた上に、一戸建て供給戸数ランキングで全米5位に一気に躍り出た。
次ページでは、国内ハウスメーカー3強がしのぎを削る米国事業の行く末に迫る。巨額買収で一気にトップに躍り出た積水ハウスには、二つの“落とし穴”が待ち受けており、予断を許さない状況である。しかも積水ハウスとは異なる戦略で攻め込む大和ハウス、住友林業が猛追しているのだ。