このレビューはネタバレを含みます
めちゃくちゃ構図がいい。
奥、真ん中、手前の層構造がしっかりあって、世界からやってくる何かを感じるし、その構図を観客が視線でなぞる動線が「対話する世界」だなと思った。
「対話する世界」というテーマに対してどんな主人公を置くか、どんなことが起きるか、というのもぴったりハマっているし、作品の完成度の高さがすごいなと思った。
本当にすごい良い映像だった。
でも本当に良いんだけど、何か大きなものがこの作品から欠落しているように感じた。
心を鷲掴みにされて揺さぶられるようなものを私は感じられなかった。
最後の渋谷のホームレスの、「俺はここでずっと落とし物を探してる。いつでもここに居るから、何かあったらここへおいで」という台詞に監督の温かみのようなものを感じてとてもよかった。