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マルホランド・ドライブのHKのレビュー・感想・評価

マルホランド・ドライブ(2001年製作の映画)
4.2
デヴィッド・リンチの訃報を機に、長編10本中唯一観ていなかった本作を観賞。
日本デビューの『エレファントマン』から『ローラ・パーマー最後の7日間』までの長編6本は劇場公開時に観ており、それ以後しばらく映画と疎遠になったため、残り4本中3本は後のCS放送特集時にまとめて鑑賞。
実は唯一観ていないのが『ロスト・ハイウェイ』だったのか本作だったのか記憶が定かでなく、たぶんこっちと踏んで観たところアタリ。間違いなく初見。

これはもう冒頭から完全に『ツイン・ピークス』の世界ですね。
炎、複数の美女、小人役者、コーヒー、預言者、ダイアン、赤いカーテン、などなど『ツイン・ピークス』を想起させる要素のてんこ盛り。
音楽もバダラメンティ(本人も出てました)。
脇役一人一人に至るまで独特の個性を持ち、あたかもその人物が主役の別の映画のシーンが紛れ込んで来たかのよう。
これぞ集大成といった趣のリンチ・ワールドを久々に堪能しました。

しかし、これまで唯一観てなかった本作こそがリンチの最高傑作だったのかと今さらながら気づき、興奮の面持ちで画面に見入っていたのもラストの約30分手前まで。
そこから一気に突き放されて????
・・・いや、これでこそリンチ・ワールドか。
観終わって、あー面白かった、なんて軽々しく言わせないぞと。

ところで、観た後で知りましたが、本作はもともとリンチが『ツイン・ピークス』のオードリーのエピソードとして企画したものが、諸々の事情により独立した映画になったんだとか。どおりで。
そしてリンチが大好きだという映画『サンセット大通り』ともリンク。

ふと思うに、TVドラマ『ツイン・ピークス』には後のリンチ映画の基本要素が既に網羅されていますが、これは宮崎駿のTVアニメ『未来少年コナン』と彼の後の劇場作品群の関係にも似ていますね。

本作はいずれまた観たくなるのは必至。
こりゃディスク買うかな。いまさらだけど。
HK

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