Harukiさんの映画レビュー・感想・評価

Haruki

Haruki

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ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

4.1

デンマークの統治下にあった19世紀後半のアイスランドを舞台に、布教のため訪れた若い牧師の危険な旅を描いたヒューマンドラマ。

異文化の衝突、自然と文明の相克、信仰の限界…

壮絶な自然を捉えた映像美の
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ウィキッド ふたりの魔女(2024年製作の映画)

4.3

世界的ミュージカル『ウィキッド』を壮大な世界観で映画化した作品。

オズの国を舞台に、悪い魔女エルファバと善い魔女グリンダの学生時代の友情を描いている。

2人の運命を大きく変える壮大な冒険が、圧巻の
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ファニー・ガール(1968年製作の映画)

3.7

実在の喜劇女優ファニー•ブライスの半生を大まかに下敷きにしたミュージカル作品。

アーンスティンとの波瀾万丈な関係を軸に、ファニーの人生をドラマティックに描いている。

ちょっと冗長であり、その割に展
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ソルフェリーノの戦い(2013年製作の映画)

4.0

ジュスティーヌ•トリエ監督の長編デビュー作。

大統領選挙を控えたパリの選挙運動を取材する母親と、彼女の幼い娘を預かったベビーシッター、そして面会日を勘違いして来た元夫の姿を描いたコメディドラマ。
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3時10分、決断のとき(2007年製作の映画)

3.8

強盗団のボスと彼を護送する貧しい牧場主の決死の闘いを描いた西部劇。

全編に緊迫感があふれるアクションとストーリーテリング、男たちのヒューマンドラマ。
ずっとダレることなく、熱量高く走りきっている。
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アマデウス(1984年製作の映画)

4.1

アントニオ•サリエリとモーツァルトの物語を描いた歴史映画。

サリエリの狂気と欲望がこの作品の軸になっている。
音楽で神に触れようとする崇高さと傲り、才能と名声に執心する愚かさ、激しい嫉妬と人間的狂気
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アバウト・ア・ボーイ(2002年製作の映画)

4.3

孤独に生きる独身貴族の男が、情緒不安定な母と暮らす12歳の少年と絆を育み、人生が変わっていくコメディドラマ。

よくある構図ではあるが、甘くなりすぎないウィルとマーカスの関係は新鮮。

程良くトゲがあ
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ANORA アノーラ(2024年製作の映画)

4.7

ストリップダンサーとロシアの御曹司の結婚をめぐる悲喜劇を描いたヒューマンコメディ。

社会の周縁に生きる名もなき人たちのリアルを、痛々しくも愛おしく描いてきたショーン•ベイカー。
彼独自の視点で、現代
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ニッケル・ボーイズ(2024年製作の映画)

4.4

黒人差別が根深く、公民権運動が盛んな1960年代。

矯正施設で試練に耐える2人の青年の絆を描いたドラマ作品。

矯正施設では生徒同士の暴力や教師による不当な抑圧と体罰が横行している。

主にエルウッ
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ブルータリスト(2024年製作の映画)

4.5

ホロコーストを生き延び、戦後にアメリカへ渡ったハンガリー系ユダヤ人の建築家の壮絶な半生を描いたドラマ作品。

白人の偏見や価値観が、主人公ラースローのアイデンティティを脅かしていくさまを丹念に描いてい
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眠りの地(2023年製作の映画)

3.9

実話を基にしたドラマ作品。
葬儀社を営む男が家業を守ろうと、カリスマ弁護士とともに大企業を訴える。

性格も正反対な2人が信条や人種を越えた絆を育みながら、企業の不正や腐敗を暴いていく。

ダレること
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ドリーム・シナリオ(2023年製作の映画)

4.2

何百万もの人の夢に現れるようになった大学教授の恐ろしい体験を描いたスリラー。

『シック•オブ•マイセルフ』が素晴らしかったクリストファー•ボルグリによる唯一無二な物語。

エッジィで恐ろしく、どこか
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アナザー・カントリー(1983年製作の映画)

3.9

1930年代のイングランドの全寮制のパブリックスクールを舞台に、同性愛や共産主義に傾倒していくエリート学生たちを描いたドラマ作品。

ルパート•エヴェレットやコリン•ファースらが演じるキャラクターたち
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リンダはチキンがたべたい!(2023年製作の映画)

4.4

母娘が亡くなった父の思い出の料理を作ろうと奮闘するアニメーション映画。

大胆な色彩のアニメーションと心温まるストーリーに惹き込まれる。

子ども時代というものが、痛々しくも温かい時期であったことを思
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聖なるイチジクの種(2024年製作の映画)

4.8

愛国心の強い予審判事とその家族の物語を、重厚かつサスペンスフルに描いたヒューマンドラマ。

『悪は存在せず』がとても素晴らしかったモハマド•ラスロフ監督。

愛国心を次第に歪ませていく父、政治問題や人
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野生の島のロズ(2024年製作の映画)

4.9

無人島に漂着した人助けロボットが、次第に心を持っていく姿を描いたアニメーション映画。

コミュニケーションがとれる動物同士でも食う食われるの関係であったり、子どもが襲われた親がすぐに切り替えていたり、
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オオカミの家(2018年製作の映画)

3.7

コミューンから脱走した少女が、逃げ着いた小屋で体験する悪夢をグロテスクに描いたストップモーションアニメ。

クエイ兄弟の作品群にも似た、ホラーと御伽話の混ざった世界観。

流れるようなシークエンスのア
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ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ(2022年製作の映画)

3.7

ブレーメンに暮らすトルコ移民の女性が、不当にグアンタナモに収監された息子を救おうとブッシュ大統領を訴えた。
そんな衝撃の実話を、あえてのコメディタッチで描いた作品。

まず母親ラビエの人柄がこの映画最
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ミツバチと私(2023年製作の映画)

4.3

自分の性自認に悩む8歳の子どもの葛藤と成長を温かく描いた作品。

男の子として生きることに違和感を感じ、心を閉ざすアイトール。
彼を心から愛しながらも、どう接していいか分からず悩む家族。
それぞれの視
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メイ・ディセンバー ゆれる真実(2023年製作の映画)

4.7

女優のエリザベスは、当時13歳だったジョーと不倫して投獄されたグレイシーを映画で演じることになり、役作りのために彼女たちと一緒に過ごす。
一見穏やかに見える交流の奥に潜む、それぞれの生々しい感情をひり
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わたしの心のなか(2024年製作の映画)

4.3

自分の声で話せない脳性まひの少女が自分の思いや可能性を信じてひた進む姿を、周りの人々との関係を絡めて描いたドラマ作品。

自分の気持ちや"言葉"を聞いてほしいと願うメロディの踠きには胸を締めつけられる
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オーダー(2024年製作の映画)

4.1

実話を基に、FBI捜査官と白人至上主義のテロリストとの闘いを描いたクライムスリラー。

シブい演出で、じわじわと確かな緊迫感を生みながら両者の鬩ぎ合いを描いている。

物語の展開は非常にスリリングで、
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インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

4.0

リゾート地を訪れたスランプの作家に降りかかる恐怖の体験を幻惑的に描いたサイコスリラー。

前作『ポゼッサー』が大傑作だったブランドン•クローネンバーグの最新作。

ジェームズは現実が倒錯し、邪悪で魅惑
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アヌジャ(2024年製作の映画)

4.1

インドの縫製工場で働く姉妹を描いた短編映画。

幼い妹のアヌジャが、姉との生活と寄宿学校の入学試験の間で葛藤する。

不当な労働条件や児童労働、貧富の差…
子どもなのにお金を稼ぐしかないインドの実情が
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モンキーマン(2024年製作の映画)

4.0

母親を殺された青年が燃えたぎる思いで復讐を果たそうとするリベンジスリラー。

異常なまでのテンションと濃密なドラマ性が押し寄せてくる。

インドにおける貧富の差や労働搾取、マイノリティへの差別…
社会
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はなればなれに(1964年製作の映画)

4.4

ふたりの男とひとりの女が繰り広げる恋と犯罪の悲喜劇。

二人組の男と偶然に出会ったひとりの女。
彼らの三角関係と犯罪計画を、ロマンティックかつ大胆な演出で描いている。

3人のやり取りはサスペンスフル
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サン・セバスチャンへ、ようこそ(2020年製作の映画)

3.9

サン•セバスチャン映画祭に訪れた大人たちの恋模様をウディ•アレンが軽妙洒脱に描いたロマンティックコメディ。

風光明媚なサン•セバスチャンの風景を美しく捉えながら、儚くも愛おしい人間模様を綴る。
ウデ
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リアル・ペイン〜心の旅〜(2024年製作の映画)

4.5

ユダヤ人の従兄弟2人が祖母の遺言により、ポーランドの地を巡るツアー旅行に参加する姿を描いたヒューマンドラマ。

正反対の2人が、騒動を起こしたり他の参加者と交流したりしながら、祖母のゆかりの地を辿って
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ナイトビッチ(2024年製作の映画)

3.7

母親になるため夢を諦めた女性が、妄想と現実の狭間に嵌まり込む姿を描いたスリラーコメディ。

主人公に次第に現れる体の変化や獣性。
抑圧された怒りや本能を獣性に喩えながら、母親という立場の本質を抉ろうと
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REVENGE リベンジ(2017年製作の映画)

4.2

不倫相手とその狩猟仲間に凌辱されて殺されかけた女性が、復讐の炎を燃やす姿を描いたバイオレンススリラー。

『サブスタンス』が絶賛されたコラリー•ファルジャの長編デビュー作。

リチャードたちは狩猟の優
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Incident(原題)(2023年製作の映画)

4.0

2018年7月14日、シカゴ警察がサウスサイドの床屋ハリス•オーガスタスを射殺した。

警察から提供されたボディカメラの映像と、近所の監視カメラの映像を同一画面上に構成して、事件の全容を示そうとした短
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Instruments of a Beating Heart(2024年製作の映画)

4.1

イギリス人の父と日本人の母を持つ監督が自身の"日本人らしさ"に着目し、ルーツである日本の公立小学校に着目したドキュメンタリー。

新1年生への発表会に向けて、楽器の練習をする新2年生たちの姿を捉える。
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ストレイト・アウタ・コンプトン(2015年製作の映画)

4.3

伝説的ヒップホップ・グループ、N.W.Aの軌跡を描いた伝記的音楽映画。

麻薬抗争やロス市警の暴力が蔓延る中で結成されたN.W.A。
彼らの音楽制作、レーベルとの契約、メンバー同士の確執と離散、そして
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A Lien(原題)(2023年製作の映画)

4.1

グリーンカードの面接をする日、移民への過激な取り締まりを目の当たりにする夫婦を描いた短編作品。

シンプルかつ凝縮された内容で、グリーンカード申請のリアルと移民社会の闇を描いている。

緊迫感あふれる
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セレンディピティ(2001年製作の映画)

3.9

たまたまめぐり逢った男女が、数年後に運命的な偶然に再び引き合わされていく姿を描いたラブロマンス。

最初の出会いはブルーミングデールズで同じ手袋を手に取ったこと。

使い古されたシチュエーションで出会
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クレオパトラ(1934年製作の映画)

3.7

エジプトのクレオパトラ7世の物語を、セシル•B•デミル監督が映画化した作品。

歴史考証や史実の観点では、疑問を挟む余地はたくさんあるのだろう。

ただエンターテイメントとして、豪奢で大胆なシーンの連
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