2012年のNHK大河ドラマ「平清盛」の作曲家、吉松隆さんが、自身のWebサイトで大河ドラマの楽曲制作の裏側について語っています。音楽制作の手順や制作陣とのやりとり、デモ制作にボーカロイド「初音ミク」を使用したことなどを明かしています。
▽ 大河ドラマ「平清盛」音楽制作メモ: 月刊クラシック音楽探偵事務所
▽ http://www9.nhk.or.jp/kiyomori/
写真や楽譜の画像も使われた1万字を超えるエントリーは、「1年半ほど前」に楽曲制作の打診を受けたところから始まり、時代背景の検証やゆかりの地巡りを経て、楽曲を作り上げていくまでを描写しています。600曲に及ぶ劇中曲は、物語に登場する大きな勢力「平家」「源氏」「朝廷」に関する3つのモチーフと、平安末期の流行歌「遊びをせんとや生まれけむ」をイメージした1つのモチーフ、計4つのモチーフをもとに作曲していったそうです。「本編の音楽の素材」を組み合わせる形で「平安プログレ」をイメージしたテーマ曲の制作や、NHK交響楽団に「ロックしてください!」と叫んだという音楽収録についても書かれています。
“ドラマ全編を通しての「メインテーマ」的な存在”である「遊びをせんとや生まれけむ」のモチーフは、ボーカロイド「初音ミク」を使用して試作したそうです。
ちなみに、このメロディ、「初音ミク」というヴォーカロイド(歌声をサンプリングし日本語で歌を歌わせることが出来るソフト)で試作を重ねて作成している。
もともと「歌詞を歌わせる」ことが目的のソフトなので、こういう「歌」の作曲には向いているのだが、平安時代の「今様」をコンピュータのヴォーカロイドで歌わせる…というのは、考えてみれば結構不思議な組み合わせと言えなくもない。実は、彼女に本番の劇中歌およびテーマ曲を歌わせることも考えていたのだが、最終的には「すべて生音で」という原則もからんで採用にならなかった。テーマ曲の最後に聞こえる歌声が「初音ミクっぽい」のはそのせいだが・・・ちょっぴり残念ではある。(もし実現していたら、タルカス以上にネットの話題を集めたかも知れない)
はてなブックマークのコメント欄には、「初音ミクって今そんなところまで来てんの?凄ぇな」「ミクさんのくだり除いても全体的にひじょうに興味深い内容でありました」「サントラ制作者自らこれだけ語っているのすごい」「大河なんてマトモに見たことないけど、見たくなった。面白い」などのコメントが寄せられています。また、「初音ミク」起用に関する読者の反響を受けた吉松さんは、1月11日付のブログエントリーで、「もう二十歳ほど若かったら、アニメーション付きでYouTubeやニコニコ動画にアップしていた・・・かも。(隠居してヒマになったらやってみようか・・・」と書いています。