バンクーバーの先住民アートをめぐる。街角に息づく、和解への架け橋

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カナダには160万人以上の先住民が暮らし、北米先住民の「ファースト・ネーションズ」、先住民とヨーロッパ人の混血である「メティス」、そして北部地域に住む「イヌイット」の3つのグループに大別される。この中でも、先住民全体の半数以上を占めるファースト・ネーションズは、カナダ先住民の代表的な存在として知られている。

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先住民の伝統文化には、自然やアニミズム的な精神、そしてコミュニティのつながりを重視する独自の世界観が色濃く反映されている。自然界のすべてに魂が宿るとされ、動物や植物、大地、風などが神聖視されているのだ。また、動物をモチーフにした神話も数多く伝承されており、カラスやワシ、クマといった動物が各部族の物語において重要な役割を担っている。たとえば、カラスはいたずら好きでありながら、世界に光をもたらす存在として語られることが多い。

その文化的表現は芸術にも深く根ざしている。芸術は単なる装飾や表現を超え、伝統やアイデンティティ、そして歴史を未来へ伝える役割を果たしているのだ。特に、ファースト・ネーションズの中でも北西海岸沿岸部に住む部族のアートは、独自のスタイルと高い芸術性で広く知られている。

そして、こうした伝統的なアートは、バンクーバーの街中にも数多く見られる。公共の場に設置されたアート作品は、彼らの文化的アイデンティティを守り続ける力強い表現として、多くの人々にインスピレーションを与えているのだ。その存在は、カナダの歴史の中で抑圧されてきた彼らの真実を多くの人々が理解し、未来に向けた希望を象徴するものでもある。また、それはカナダ政府や国民が彼らの伝統文化に敬意を払おうとする姿勢の表れでもある。

今回は、バンクーバーの街を彩るファースト・ネーションズのアート8点を、アーティスト別に筆者が撮影した写真とともに紹介していく。これらの作品に込められたメッセージとは何なのか、彼らの視点に触れてみたい。

スーザン・ポイント氏 1952年〜現在(コースト・セリッシュ族)

スーザン・ポイント氏が血を引くコースト・セリッシュという先住民は、カナダ・バンクーバーの南部からバンクーバー島南端、さらにアメリカ・ワシントン州北部にかけて居住している。その中でもスーザン氏は、最も影響力のあるアーティストの一人として広く知られている。

バンクーバーがかつてセイリッシュの領土であったという歴史的背景から、彼女のアート作品は市内の公共空間に数多く展示されている。1981年にアーティストとしてのキャリアをスタートさせたスーザン氏は、伝統的なコースト・セリッシュの芸術を深く学び、その精神を継承しつつも、現代的でダイナミックなデザインの言語を確立した。その結果、彼女は伝統的なモチーフを使用するだけにとどまらず、自身の個性的なスタイルを大胆に表現するアーティストとして評価を受けている。

現在、スーザン氏の作品は世界20か国以上の個人や企業のコレクションに収蔵されており、彼女の影響力は地域を超え、国際的な広がりを見せている。

Memory:生命の本質である水がテーマ

スーザン氏と娘のケリー氏が2004年にデザインしたこのマンホールカバーは、彼女の代表作の一つである。バンクーバー市内のビジネス街の中心から緑豊かな住宅地区に至るまで、市内数百の通りで目にすることができる。写真は観光地として有名なガスタウンの一角で撮影した。

Memory 場所:Various, Vancouver

Memory 場所:Various, Vancouver

このマンホールカバーのデザインは、雨水排水のイメージとして、カエルの変態を描いている。中央には卵が配置され、それがオタマジャクシ、そしてカエルへと変化していく過程が表現されている。デザインのテーマである水は生命の本質そのものであり、これらのアートは「完全な生命の爆発」を感じさせることを意図している。

コースト・セイリッシュの先住民の教えでは、円形のデザインは「生命の輪」を象徴し、すべての生命が繋がり合っていることを示している。また、コースト・セイリッシュのアート特有の三日月形、円、楔形の要素が見事に組み込まれており、4つの卵、4つのオタマジャクシ、4つのカエルが配置される構成は、セイリッシュ文化において重要な数字である「4」の象徴性を強調している。「4」という数字は、先住民族にとって特別な意味を持つ重要な数である。例えば、東西南北の方角、春夏秋冬の四季、さらには地球、風、火、水という4つの自然の要素など、生命や世界のバランスを象徴するものとして捉えられているのだ。

カエルはセイリッシュ文化で環境保全のシンボルとしても知られており、このデザインは環境保護の重要性を思い起こさせる。また、スーザン氏はこの作品について、「マンホールカバーを見つけた人々に、日常の中で喜びの瞬間を提供できることを願っています」と語っている。公共アートとして地域の文化的アイデンティティを表現しつつ、見る人に深い印象を与える作品だ。

Fusion:地域の自然や歴史、そしてそこに息づく文化へのオマージュ

バンクーバーの古い住宅地の一つであるMarpoleの中心に位置するこの場所。ここは、伝統的にマスキーム族の領土として知られている。周囲は静かな住宅街が広がっているが、その中に突如として現れるのがスーザン・ポイントの作品「Fusion」だ。

この作品は、コースト・セリッシュ族の豊かな歴史と文化を紹介するためにスーザン氏が手掛けたものである。「Fusion」という名前には、過去と現在、そして伝統と現代性が融合するというテーマが込められている。

作品のデザインには、コースト・セリッシュ族特有の象徴やモチーフが使われており、それらが現代的なスタイルと巧みに組み合わさっている。スーザン氏は、この作品を通じて地域の文化史を広く伝え、現代の人々にもその価値を再認識してもらうことを目指している。

Fusion 
場所:Granville at 70th W 70th Ave and Cornish st 2013年制作

Fusion 
場所:Granville at 70th W 70th Ave and Cornish st 2013年制作

高さ約4.5メートルのこのオブジェは、アルミニウム製で、さらに銅と銀の塗装が施された壮大な作品である。描かれているのは、サケと川辺の草。これは、コースト・セリッシュ族、特にマスキーム族の文化を象徴している。

かつてこの地域を流れるフレーザー川には、サケが豊富に生息しており、この魚はマスキーム族の生活や文化において極めて重要な役割を果たしていた。本作品は、そんな地域の自然や歴史、そしてそこに息づく文化へのオマージュとして制作されたものである。

※セイリッシュとマスキームの違いについて:セイリッシュは同じ言語系を共有する先住民族の集団を指す。一方、マスキームは特定のファーストネーションズバンドであり、多くのセイリッシュ語を話す民族の一つである。

Moon Journey:自然界のつながりや象徴性を巧みに描く

流れるような曲線と美しい色合いの石が特徴的なこの作品は、4匹のクジラが満月を囲みながら優雅に泳ぐ姿を表現している。さらに、クジラの背びれがカラスの頭部とくちばしの形をしている点がユニークであり、自然界のつながりや象徴性を巧みに描いている。

Moon Journey 場所:Vancouver Convention Centre 1055 Canada PL 2009年制作

Moon Journey 場所:Vancouver Convention Centre 1055 Canada PL 2009年制作

この作品は、バンクーバーコンベンションセンター(Vancouver Convention Centre)の一階フロアに設置されており、周囲にはホテルやカフェ、イベントホール、アートギャラリー、ショップなどが集まる。この施設自体が、世界中から人々が集まる地球の四方を象徴する場として設計されており、作品もそのテーマを反映している。

作品の尾部とヒレに使われた黒い石が際立つデザインは、全体の構成を引き締めており、白い石で描かれた中心の満月がその周囲に配置されたセリッシュ様式の楔形とともに鮮明に浮かび上がっている。また、尾部とヒレの間には、斑模様の灰色の石を用いて海と空が表現されており、自然界の壮大な広がりを感じさせる一体感が描かれている。

ビル・リード氏 1920年〜1998年(ハイダ族)

ビル・リード氏の出身部族であるハイダ族は、20世紀中頃までプリンス・ウェルズ島の南3分の1を占めていた民族である。現在、特にブリティッシュコロンビア州のハイダ・グワ(旧名:クイーンシャーロット島)には、ハイダ族の村が多く存在する。また、ハイダ族の芸術と村落が残るスカン・グアイはユネスコの世界遺産に登録され、その北にはグアイ・ハアナス国立公園があり、カナダの国定史跡として知られている。

ビル・リード氏は、ファースト・ネーションズアートの象徴的な存在だ。特に木彫りの技術に優れ、伝統的な先住民アートスタイルを現代的な視点で再解釈したことで知られる。彼はトーテムポールやマスクなど、ハイダ族の伝統的なモチーフを用いた数多くの作品を制作し、文化遺産を尊重しつつも、現代アートとしての感覚を融合させた作品を生み出した。さらに、ビルはヨーロッパに渡り、ジュエリー彫刻を学んだことも大きな特徴であり、多くのジュエリーの傑作を世に残している。

さらにビル・リード氏は作家としても知られ、先住民文化やアートについての書籍を執筆している。彼のエッセイは、文化的背景やアートに対する思いを深く掘り下げた内容となっており、カナダにおける先住民アートの再評価を促進し、国内外で高く評価されている。

ビル氏のアートは先住民文化の重要性と持続可能性を広める役割を果たし、現代の先住民アーティストにも影響を与えている。バンクーバーには「ビル・リードギャラリー」美術館が2008年に設立され、彼の人生と作品、近年活躍するハイダ族アーティストの作品も展示されている。

ビル・リードアートギャラリー外観と館内の一角

ビル・リードアートギャラリー外観と館内の一角

ビル・リードアートギャラリー外観と館内の一角

ビル・リードアートギャラリー外観と館内の一角

Killer Whale-Chief of the Undersea World Statue:世界と精神の世界の間を行き来する存在であるシャチを描く

高さ約5.5メートルのこの大型ブロンズ像「Killer Whale-Chief of the Undersea World(シャチ―海底世界の首長)」は、ビル・リード氏の代表的な作品であり、バンクーバーで最も有名な公園の一つであるスタンレーパーク内に位置するバンクーバー水族館への寄贈品として贈られたものである。水族館入り口前の「スカルプチャー・プール」に設置されている。

Killer Whale-Chief of the Undersea World Statue  場所:バンクーバー水族館(スタンレーパーク)1984年制作

Killer Whale-Chief of the Undersea World Statue 場所:バンクーバー水族館(スタンレーパーク)1984年制作

ブロンズ像の案内板には次のように記されている。

「スカーナ-ハイダ族において海の世界の首長として知られ、偉大な家系から冬の嵐を巻き起こし、夏の海に静けさをもたらす存在。彼は神秘的なサケの循環を支配し、海のあらゆる生きた宝の守護者であった」

この像はシャチをモチーフにしており、先住民の伝統的な物語や神話を現代的な形で表現している。ビル・リード氏のシャチは、力強い波への深い潜水に備えて背中をアーチ状にし、こぶしのような形をしているのが特徴だ。このシャチは彼の作品に何度も登場し、ミニチュア版の銅像やイヤリングのモチーフ、さらには出版した書籍の絵や描画にも使われた。

ハイダの神話において、シャチは人間の世界と精神の世界の間を行き来する存在であり、リードは生涯をかけて魅了されていたそうだ。

The Spirit of Haida Gwaii:変化と不変、進歩と停滞の二面性

「The Spirit of Haida Gwaii: The Jade Canoe」は、ビル・リード氏が制作した彫刻の中でも最大規模で、最も複雑かつ有名な作品の一つである。この青銅彫刻は、縦約4メートル、横約6メートル、高さ約3.5メートルと圧倒的な大きさを誇り、虹色に輝く緑色のパティーナ仕上げが施されている。

作品は、ハイダ文化に深く根ざした13人のキャラクターたちが乗るカヌーを描写しており、各キャラクターがハイダの伝統や神話を象徴している。それぞれの登場人物が持つ独特の形や動きが、作品に生命感を与え、観る者にハイダ文化の豊かさや精神性を伝える役割を果たしているのだ。

The Spirit of Haida Gwaii: The Jade Canoe バンクーバー国際空港(国際ターミナル) 1996年制作

The Spirit of Haida Gwaii: The Jade Canoe バンクーバー国際空港(国際ターミナル) 1996年制作

主なキャラクターには、カラス、オオカミ、ワシ、カエル、クマの家族、ビーバー、サメの母、そしてネズミの女性が含まれている。さらに3人の人間も乗船しており、クマの母、中央に座って杖を持つ首長、そしてリード氏が「古代の消極的徴兵」と表現した謙虚にパドルを漕ぐ人物がいる。この彫刻は、リード氏自身の肖像としても、彼の目を通して見た地球上の生の状態を描いた作品としても理解されている。

リード氏は「ボートは進み続け、同じ場所に永遠に停泊している」と語っており、この言葉は作品に込められたメッセージを示している。バンクーバー国際線ターミナルの象徴的な存在となり、多くの人々に親しまれている。

リードに敬意を表して、2004年から2012年までこの「Spirit of Haida Gwaii」はカナダの20ドル紙幣にも描かれていた。

スティーブ・スミス氏 1968年〜現在(クワクワカワク族)

スティーブ氏が血を引く、クワクワカワク族はバンクーバー島の北部やディスカバリー諸島を含む周辺の小さな島々、さらに隣接するブリティッシュ・コロンビア州本土の伝統的な領土に居住しているが、一部はビクトリアやバンクーバーなどの都市部にも暮らしている。

スティーブ・スミス氏は1987年から彫刻と絵画の制作を続けており、初めは父ハリス・スミスからオウィケノ族とクワクワカワク族のスタイルを学んだ。その後、彼は独自で革新的なスタイルを発展させた。彼の作品には、絵画や彫刻、マスク、版画、トーテムポール、太鼓などがある。彼の先進的な作品は北米各地の主要な展覧会で紹介され、世界中のコレクターに購入されている。

彼のアーティストとしての目標は、愛、ハーモニー、平和、友情、そして人々の繋がりのメッセージを広めるアートを制作すること。彼はすべての人々や事柄は繋がっていると深く信じており、彼の作品は人生のポジティブな側面に焦点を当てている。スティーブが手掛けるすべての作品は、統一や調和の意図を念頭に置いて創造されている。彼のアートは絶えず進化しており、形、色、シンボルの探求を続けているのだ。

Freedom to Move:目的地に辿り着くことでなく、その過程を楽しむ

 
この作品は、6枚の積層されたレッドシダーのパネルで構成されている。一方の側から見ると、約3.6メートルに及ぶ見事な翼を広げたカラスが描かれている。反対側には、旅と家族を象徴するシャチの姿があり、その背びれと尾が表現されている。背びれと尾の中には、人間の姿や手のモチーフといった二次的なデザインが含まれている。また、シャチの尾には友情と自由を象徴するワシが描かれている。

Freedom to Move バンクーバー国際空港(国内線ターミナル)2009年制作

Freedom to Move バンクーバー国際空港(国内線ターミナル)2009年制作

逆側から見ると、ワタリガラスのデザインがワシに置き換わる。シャチのデザインも異なるバリエーションとなり、そこには力と権威を象徴するグリズリーベアが加えられている。シャチの尾にはクマの頭が、背びれにはクマの爪が描かれている。

この作品は、旅や変容、そしてファースト・ネーションズ の文化をテーマに表現。また、スティーブ氏は、次のように語っている。

「北西海岸沿岸部に住む先住民は主にカヌーで移動していました。旅とは、目的地にたどり着くだけでなく、その過程そのものを楽しむものでした。しかし現代では、生活のペースが格段に速くなり、移動は慌ただしくストレスの多いものになっています。人々は目的地に着くことばかりを気にし、旅を楽しむよりも我慢して過ごすことが多いのです。私の作品が、旅人たちに立ち止まり、自分の周りの環境に目を向け、体と心のペースを変えるきっかけになればと願っています」

Love, Knowledge and Peace:カラスの変容する力と、平和を目指して努力する希望

この作品が存在する「メインストリート」は、街の南北を貫く象徴的な通りであり、地域ごとに異なる雰囲気や特色を持つ多様なカルチャーとコミュニティが交錯する場所である。特に、カフェやレストラン、ブティック、アートギャラリーが豊富にあり、地元住民や観光客にも人気だ。

Love, Knowledge and Peace 場所:3425 Main St 2020年制作

Love, Knowledge and Peace 場所:3425 Main St 2020年制作

この道を歩いていると突如として目に飛び込んでくるカラフルな壁画も、スティーブ・スミス氏によって制作されたもので、北西海岸沿岸ファースト・ネーションズのデザイン要素をベースに描かれている。さらに鮮やかなカラーで遊び心を織り交ぜ、人々の予想を超える印象を与えている。

北西海岸沿岸ファースト・ネーションズに伝わる神話において、カラスはいたずら者、創造者、そして世界の変革者として描かれている。この壁画は、カラスの変容する力と、平和を目指して努力する希望にインスパイアされている。

三匹のカラスの子どもたちが空に向かって口を開け、餌を与えられる姿が描かれており、彼らの母が愛、知識、そして平和という必要不可欠な贈り物で育てている様子が思い浮かぶ。

これらの贈り物は、私たち皆が望むものであり、お互いに与え合い、私たち自身にも与えられるものだ。大きく描かれたカラスのデザインと色鮮やかな色彩は、遊び心や力強さを呼び覚まし、愛と知識の探求、平和への熱望を思い起こさせる。

今もなおカナダ社会、先住民が抱える多くの課題

ファースト・ネーションズは、数千年にわたりカナダの大地に根付いて生活してきた。独自の言語や文化、芸術が育まれ、継承されて彼ら自身もそれを誇りに思っていたのだ。しかし、19世紀にヨーロッパ人の植民が進むと、彼らは住んでいた土地を奪われ、文化や伝統が抑圧されて「同化政策」が始まった。

同化政策の一環として最も悲惨だったのは、寄宿学校制度である。19世紀後半から1990年代にかけて、カナダ政府とキリスト教会は先住民の子どもを強制的に親元から引き離し、寄宿学校に入れた。彼らの文化、言語、宗教を消し去り、欧州式の価値観を植え付けることが目的だ。

学校では先住民の言語を話すことを禁じられ、暴力や虐待を受けた子どもも多かった。栄養失調や病気が蔓延し、多くの子どもが命を落とした。家族やコミュニティとのつながりが断たれ、精神的・感情的なトラウマを生み出し、いまだ心に傷を抱えている生存者も多い。

現在でも、先住民の間には高い喫煙率やアルコール・ドラッグ依存、低収入・低学歴の割合の高さ、さらには高い失業率や自殺率といった多くの課題が存在している。現在から未来に向けた大きな変革を実現するためには、この先の第七世代まで考慮する必要があり、過去のトラウマや傷が完全に癒えるまでには七世代分の時間がかかると言われている。

そんなファースト・ネーションズのアイデンティティを守る重要な手段だった伝統的な芸術が、空港、公園、博物館、街の至る所に展示されることで、ファースト・ネーションズの文化や歴史を知り、理解が深まるきっかけになっていることを強く感じる。

なぜなら私自身もその一人であるからだ。日本にいた頃はファースト・ネーションズの歴史の歴史について全くの無知であったが、約3年前にバンクーバーに来てからというもの、街で彼らの芸術を見るたびに探究心を駆り立てられた。そして今、それを記事にしたためている。

人々が芸術を通して、歴史上で起きた悲惨な出来事を理解し、和解に向けて小さくても行動を起こしていくことが、カナダの明るい未来そして平和に繋がる。私はカナダ国民でもファースト・ネーションズでもないが、日本人として彼らの歴史や文化を少しで多くの人に伝えることが、世界平和への貢献に繋がると信じている。

【参照サイト】susanpoint
【参照サイト】The Bill Reid Gallery
【参照サイト】STEVE SMITH ~ DLA’KWAGILA
【参照サイト】VANCOUVER MURAL FESTIVAL
【参照サイト】クワクワカワク
【参考書籍】Robert D .Watt「People Among the People

Edited by Erika Tomiyama

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