概要
五龍の伝説が息づく虚飾と華燭の魔都、深灰。
ふるき友人とともに店を営んでいた青年シロは、蓮安(リアン)という名前の美しき夜色の女と出会う。
「この店で、匣庭が発生している」
彼女の妙な言動にシロが首をかしげた矢先、二人は異形の妖魔に襲われて――?
押しに弱い訳アリ常識人・シロと、美しくも奔放な呪墨師・蓮安。匣庭の謎を追いかけていった先、最後にシロの手元に遺るものとは。
願いと呪いが境界線を彩る中華風ファンタジー、ここに開幕。
*2022年02月27日に完結いたしました!ありがとうございました!*
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!強くて真っ直ぐで、迷いのない彼女が彼に遺したそれは、優しい呪い。
死の間際に人が残した願いが生み出す匣庭(はこにわ)。
そこで彼が出会ったのは自由奔放で美しい夜色の女性、一蓮安(にのまえ りあん)。
全ての匣庭を滅ぼすのが望みだと言った彼女が彼を見出したのは、彼こそが人の願いを叶える宿命を負った龍だったから——。
かつて大火で焼けた深灰という街で、妖魔と戦い、悲しい子供の願いを叶えながら、匣庭を廃し続ける蓮安とシロは、それぞれが負う呪いのような運命と向き合い、やがて避けようのないある選択を強いられていきます。
脇を固める怪しい黒色眼鏡の社に藤色の髪を持つ十無、ツンデレ少女かと思いきや、運命に翻弄されるイチル、そんな彼女にやたらと絡んでくる妖魔…続きを読む - ★★★ Excellent!!!すべての匣庭が開くとき、最後に残る願いとは
誰かの幸福を願うとはどういうことなのでしょう。
そんなことを考えさせられる作品です。
たとえば、「あなたのため」と押し付けられる願いはどうでしょう。押し付けられた当人が後々になって「確かに自分のためになった」と認め感謝することはあるかもしれません。しかし、それは結果論とも言えます。そうならない可能性も十分に存在するのです。
では、相手の願いを無条件に叶えるのはどうでしょう。願いを叶えたその瞬間は幸福であるかもしれません。しかし、時の流れや状況の変化に侵されない永遠不変の願いがあるでしょうか。また、言葉にされた願いが本当に心からの願いであると保証できるでしょうか。後から悔やまないと言える…続きを読む - ★★★ Excellent!!!その願いは誰のため
虚飾と華燭の魔都といわれる深灰の一角で、料理と酒と演劇を楽しめる『勾欄』を営む訳ありの青年シロと、彼のまえに突然あらわれた美しき夜色の女、蓮安(リアン)。
『ここで匣庭が発生している』
物語は蓮安が告げたそのひとことからはじまります。
人の強い願いが生む『匣庭』という現象。そこは生者と死者が混在する世界。
命の危機に『死にたくない』と思うのも、愛する者に『生きてほしい』と願うのも、きっと当然のことでしょう。だけどその祈りは、はたして誰のためのものなのか。
お互いのことを思いながら、そして、お互いのことを思うからこそすれちがってしまう願いがある。
物語がすすむにつれ、どうしよ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!その願いはあまりにせつなく、けれど彼は叶えることをやめられない
中華をモチーフにした世界で繰り広げられる、とにかく格好いいバトルと人間模様の絡み合うファンタジー作品。
人の強い願いが作り出す「匣庭」では、その願いが常に叶えられる。そしてその世界に紛れ込むのは生者だけでなく死者も……。
そんな匣庭を壊すことを目的とした夜色の女、一(にのまえ)蓮安。彼女は勾欄(劇場)を営むシロという蜂蜜色の髪をした青年に開口一番「ここで匣庭が発生している」と告げ――。
まず何と言ってもバトル時の呪文が超絶格好いいです!
カタカナの羅列じゃなく、呪文もしっかり中華風。短い呪文なんだけど、そこに属性とか、どんな攻撃とかが分かるようにしっかり考えられてるところが凄い。
この作…続きを読む - ★★ Very Good!!不思議な魔都、深灰でくり広げられる中華風ファンタジー
物語は、虚飾と華燭かしょくの魔都と謳うたわれる深灰で繰り広げられます。
中華の色濃い表現で、1話目の半分も読めば、その世界観に引き込まれます。
詳細にプロットが練られているのか、お話の中に出てくる衣装や建物の描写、匣庭と言う謎の現象の表現にも、ファンタジーなのに、納得させるだけのリアルがあります。
また、登場してくるクールで美しいヒロインの蓮安と、体は大きいけれど少々頼りのないシロの2人の対比が、生きていて、さらに読み手を楽しませてくれます。
まだ、3部までしか投稿されていませんが、現時点で十分に『五龍伝説の息づく魔都、深灰』の物語の魅力に魅了されるお話です。
今後、どう恋愛要素が盛り…続きを読む