Favorite films
Don’t forget to select your favorite films!
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途中までこの映画はニューヨークを舞台にした犬とロボットの個人的な物語だと思っていたけど、もっと大きな失われた時代や人々をも象徴的に描いた人生讃歌だと思った。
失われたものの象徴でもあるツインタワーが後半になるにつれて重要なシーンの背景にも映っていたりどんどん存在感を増してゆく。この映画そのものが911テロで犠牲になった人々のあらゆる人生の可能性=夢への追悼・鎮魂歌なのかもしれない。
これはちょっと穿ち過ぎかもしれないがラストの窓から見えるツインタワーとその横に見える雲の形があの時の煙のように見え背景で鳴るサイレンもあって暗に911を示しているようにも感じた。
全編に様々な映画へのオマージュが散りばめられておりそれを見るのも楽しい。自分が気づいただけでも『シャイニング』の双子やバスター・キートンのスタント、観てないけどボウリング場のシーンはたぶん『ビッグ・リボウスキ』。ロボットのデザインやバラバラにされるところはブラッド・バードの名作『アイアン・ジャイアント』を思い起こさせる。
オマージュではないが直近の映画ではニューヨークが舞台だというのもあり『パスト・ライヴス』も想起した。
台詞なしの構成が、シンプルに見えるがとてもレベルが高いアニメーションと素晴らしい音楽を際立たせていて本質的な映画の楽しさも感じられた。
拾えきれていない部分もまだまだあるしまた観たい作品。
When I first saw the film, I had no idea that David Lowery was such an excellent filmmaker, and I was very impressed. I watched it again this time and it is still a wonderful film.
The scale of the films are about the opposite, but if I had to pick a film I've seen that is similar, I'd say Interstellar. Also, Tree of Life.
The scene where "M" sits in the kitchen eating a pie is one of the…
This review may contain spoilers. I can handle the truth.
念願の新文芸坐で観られたので書き直した。
主演のポール・メルカルとフランキー・コリオはこの2人以外考えられないくらいの奇跡みたいなキャスト。
奇跡と言ったけどこの映画は決して長編第1作目の監督がたまたま上手く撮れたまぐれの作品ではなく、何気なく見えるカットであっても構図やカメラの動きに明確に意図があり高度に計算されていると今回改めて観て思った。
自分が同じような出来事を経験したわけではないのにまるで思い出そのものを体感しているかのような感覚になる。
カラムが本当にソフィを愛しているのがわかるし、だからこそ自分自身の苦悩と衝動と対照的に将来に不安を抱くことを知らないソフィの無邪気な反応にうまく折り合いがつけられずに自己嫌悪で余計に自分自身を追い込んでいるように見える。カラムが太極拳とか瞑想の本で心を落ち着かせようともがいてるのがわかるからこそ余計に悲しい。
この映画で何回か映される印象的な父の背中は頼もしいものではなく表情は見えず不安を掻き立てるものとして描かれる。
カメラが1回転した後のラストシーンの扉はもはや2人が最後に別れた空港の扉ではなく無機質な霊安室を思わせるあの世とこの世の境目のよう。そしてカラムは扉の向こうの光が点滅するダンスフロアへと消えてゆき2度と戻らないことを予感させる。
たぶんソフィはあの時のカラムの心情をこれまでも考え続けてきたしきっとこれからも考え続けるのだと思う。
人は他人の気持ちを察することはできても本当の意味で他人の心を理解することはできないけれど、たとえ答えが見つからなくともいなくなった人やもう会えなくなった人のことを考え続けるのは人間だからでありそれはきっと愛だと思う。
新文芸坐の音響はさすがでオリヴァー・コーツの劇伴や劇中曲がよりよく聴こえるのはもちろん、今までは気づかなかった背景に流れる環境音もたくさんあって新鮮な気持ちで観られて良かった。
以下最初のレビュー
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今作のポール・メスカルの演技と『パール』でのミア・ゴスの演技は今年観た映画の中で特に印象に残っている。
音楽の使い方もすごく良くて特にQueenのUnder Pressure はこの映画を観る前と観た後では聴こえ方が変わってしまった。
彼が扉の中へ消えてゆくラストシーンに胸が締め付けられる。
オールタイムベスト級。
心の深い部分を掴まれていつまでも余韻が残っている。