FOMC結果:利下げ無し、事前の示唆通り

 米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)は29日(日本時間30日午前4時)、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果を発表しました。事前の示唆があった通り、利下げはありませんでした。FF(フェデラルファンド)金利の誘導目標を4.25~4.50%(中心4.375%)に据え置きました。

米10年金利とFF金利の日次推移:2021年末~2025年1月29日

米10年金利とFF金利の日次推移:2021年末~2025年1月29日
出所:QUICK、ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

 米国では、2022年10月以降、2年以上にわたり長短金利逆転【注】(短期金利が長期金利を上回る状態)が続きました。2024年11月18日にFRBが0.25%の利下げを実施して、やっと長短金利逆転が解消しました。

【注】長短金利逆転
 短期金利(FF金利)が、長期金利(10年金利)を上回る状態のこと。長短金利が逆転すると、景気を冷やす効果がある。FRBが2022年に深刻なインフレを抑制するために、急激な利上げを実施して、長短金利を逆転させた。その後、米国のインフレが低下してきたことから、FRBは2024年11月には利下げによって長短金利逆転を解消させた。

 長短金利逆転には景気を冷やす効果がありますが、「景気を犠牲にしてでもインフレを抑える」ために、FRBは2年以上にわたり逆転させてきました。インフレ率が低下してきたことから、2024年に3回の利下げ(あわせて1.00%の利下げ)を実施して、長短金利逆転を解消させました。

米国インフレ率(CPI総合、コア指数前年比上昇率)の推移:2020年1月~2024年12月

米国インフレ率(CPI総合、コア指数前年比上昇率)の推移:2020年1月~2024年12月
出所:米労働省より楽天証券経済研究所が作成

 ただ、それでも長短金利ともに4%台と、高い水準にあります。米景気が堅調で、インフレ再燃懸念もあることから、これ以上の利下げにはFRBは慎重姿勢です。

 今年のFRBの利下げは、1回か2回だけとみられています。トランプ大統領がいずれ、利下げを求める(圧力をかける)可能性がありますが、パウエル議長が政治圧力によって利下げすることはないと思われます。