「経営者 = 的確な経営アドバイスができる」は、本当?
今年の3月末で、起業をしてから6年間が経つことになります。
前提として、自分の会社の経営理念の進捗的に、現状の自分の経営能力に満足しているわけではありません。むしろ、年齢的にも、もっともっと歯を食いしばって頑張らなくては。と、焦りが募る日々です。
ただ、少なくとも起業する前よりは経営についての理解は深まったと思います。そこで、
の記事を見て思ったのですが、振り返ってみると起業前や起業当初は「経営者の人」というのは、全知全能な存在とまでは言わないですが、何でも知っている人。と思いこんでいた気がします。
しかし、現時点では、「経営者としての優秀さ」と「経営アドバイス能力」は必ずしも一致しないのではないか。と思ってきました。
経営者の人が得意とするアドバイスの範囲について
まず、得意な領域として、
この本などは非常に好きで、先週もまた読んでいたのですが、ここに書かれているような「起業当初の失敗パターン」や、「事務的なノウハウ」などの「個別具体の判断がいならい、正解のあるもの」というのは「ノウハウを体系的に伝えることをできる経営者」タイプであれば、この領域は相談者に対して的確なアドバイスができるのかなと思います。
こちらは、
の記事は、そういった現実的な点が赤裸々に語られていて、貴重な参考文献だと思っています。(こういう記事がインターネット上に増えていくといいですね!)
経営者の人が得意と言い切れない範囲について
前提として、
「その(経営者)人が、自分の会社の社長だったら自分よりも業績を上げられる」
と言うことと、
「その人(経営者)が、他人の会社について、どこまでアドバイザーとしてパフォーマンスを発揮できるか」
ということは、イコールではない。という風に思っています。
これは自分自身の失敗談なのですが、起業をして2~4年後ぐらいのときに、有り難いことに数名の方に経営に関する相談をいただいたことがあったのですが、その際の質問として、
- webサービスの機能の相談
- webサービスのコンセプトの相談
など、「1ユーザー」または「webディレクター」的な観点での意見や、テクニカルなノウハウは伝えることができた気がします。ただ、もう少し踏み込んだ、
- 5年後の会社の未来像について
- 企業理念について
- 事業のピポットの必要性について
- 今の事業における次の戦略 ※自分がやったことがない領域について
とかの話を聞かれたことがあり、その時は、自分の経験に基づく話はできたのですが、やっぱり「それは、自分の考えでしか語れないよなぁ・・・。」と思いました。
ただこれは自分が未熟なだけであり、経営者の方でも、「数十の子会社をマネジメント」していたり、「複数の事業を成功」させてきたりなど、経験豊富な方であれば、業界に関する個別の知識がなくても、そういったものを超えた成功の法則みたいなものや、細かなパターンにもすべて対応しているような気がします。
たくさんの事例に接するとややこしい答えが出にくい質問でも答えが見つかりますね。面白いです。
— 堀江貴文(Takafumi Horie) (@takapon_jp) 2016年3月20日
【堀江貴文】ビジネスでは「小利口」になるな、「バカ」になれ - https://t.co/6BAVC7NEyk
などを見て、やっぱり、そういう景色もあるんだなー。と思いました。
ただ、自分みたいにそういう領域にいけていなく、さらに自分の事業に専念しないといけないような段階で、他人へのコンサルティング能力を身につけることにリソースを割くのは違うと思い、もしそういった相談をいただいても、領域を切り分けてお伝えするか、自分の仕事に専念するようにしています。
1回の成功ケースをもって「再現性がある成功パターン」として偉そうに他人に伝えてしまう「勘違い」した人になりかけていた・・・。
そこで当時の心理状態を振り返ってみると、「○○の方法は、うまくいったよ!」という、たった1回の成功パターンを、偉そうに「これを真似すれば、うまくいくよ!」という風に人生経験が浅い、短期的な観測期間だけで伝えてしまっていたのかなと。
これは、本当に傲慢だったなぁ。。と反省していまして、「経営コンサルタントの素人」が経営コンサルをしていた状態になってしまっていたのかなと。
当然、そういった話は飲みの席でとかなので、お金を貰っていたわけではないのですが、会社や人生を左右する相談に、傲慢にも自信満々に伝えてしまっていたのは、不遜な態度だったなぁ。。と。
経営者の人も、経営アドバイスをする際は、新卒1年目の感覚でやらないといけない?
一般論ですが「経営者」に限らず、「経験者」が違うことを始めるときには、「変なプライドは捨て0から学ぶ姿勢」というのが大事になると思います。
そのため本来は、経営コンサルティング会社に入社した新卒1年目のような気持ちで取り組む必要があるのかなと思います。(経営コンサルティング会社への賛否両論があるかもしれないですが、イメージとしての話ですので、詳細は割愛します。)
その場合、本来は当然、色々な経験を経ていく必要があると思うのですが、どうしても、同じ会社の上司部下の関係じゃない場合、
相談される → 伝える → 感動される → テンションが上がる
という分かりやすい感情のパターンが発生しやすいため、的確なアドバイスができているかの実態が伴っていなくても、感情的にこのスパイラルにはまってしまう危険性があるのかなと思います。そうすると、当然新卒1年目のような謙虚な態度で接することからかけ離れてきてしまいます。
利害関係があれば別なのですが、利害関係がない中で、この感情のパターンが発生してしまうと「アドバイスにおける効果検証」をせず、その場での一時の感情に流されてしまうのかなと思います。(極端な話ですが、アルゴリズムとして、感動話至上主義になってしまい、リアクションが高い話が優先され、愚直な努力などの選択が弱くなってしまう方向にバイアスがかかってしまうなど。)
また逆に、アドバイスをする側の人目線でいうと、利害関係ではなくこういったアドバイスをするのは一見、素敵なことなのですが、利害関係がなくアドバイスに関する効果検証もしていない場合、脳の中を100%自分の会社のことを考えるべきフェーズにおいて、他社のことを考えるために脳のメモリを使用するため、
自分の会社のことだけを考え判断をする → 他社を含め、汎用的な選択肢を選ぶ
という風に脳にバイアスがかかってしまう可能性もあるのかなと思います。
上記のような流れで、総花的な話ですが、「経営に関しては、自分の頭で考える。」ということが重要なのかな。ということなのかな思いました。
それでも、利害関係を超えて経営アドバイスをしたい。という場合、アドバイス者がプロのアドバイザーでない場合は、「アドバイスに対する効果検証」というのは必要なのかなと思いましたが、、、現実的にパワーバランスからしてそんなことは起こりえなさそうですね(笑)
そういう意味では、利害関係のある場合は、投資する側も投資される側も、アドバイスに対する責任が発生し、市場原理が働くため、無責任な場合よりは健全になり易いのかなと思いました。ただ、それであっても、アドバイスする側は「アドバイスのプロであるか否」かは重要なことなのかなと思いますが。