変わった形で人気を集めていた岩を、何者かが数人で押し倒している様子を撮影した動画が公開された。これを受けて、米オレゴン州当局は対応を検討している。
同州パシフィックシティのキワンダ岬に立っていたその岩は「ダックビル(アヒルのくちばし)」という名で広く知られ、多くの観光客が訪れて写真撮影する人気の観光スポットとなっていた。
高さ2メートル強の岩は土台が不安定なため、人が立ち入らないように周囲をフェンスで囲っていたが、それでも上によじ登ってヨガのポーズを取ったり、結婚写真を撮ったりする人々が後を絶たず、州の公園管理局は頭を悩ませていた。
2016年9月、この岩が倒壊しているのが見つかった。公園管理局は当初、よじ登る人々の重さに耐えきれなくなって自然に倒れたのだと思った。ところがすぐに、意図的に倒されたものであることが判明した。ちょうどその現場を撮影したと思われる動画が出てきたのだ。
撮影者の名は、デビッド・カラス氏。現場近くで友人とドローンを飛ばしていたところ、ダックビルを押し倒そうとしている人々の姿が目に入った。カラス氏はすぐに携帯電話を取り出して、岩が倒れる直前にビデオカメラを回し始めた。その後、倒した本人たちに問い詰めた。(参考記事:「【動画】珍事!車に戻ったら中にクマが」)
「なぜ岩を倒したんだと聞くと、友だちがこの岩で足を骨折したためだというんです。要するに、危険な岩だから、世のためオレゴン州のために善いことをしたのだと」。カラス氏は、地元テレビ局の取材に応えてそう語った(動画に映っている人物は特定されていない)。(参考記事:「意図的な破壊、サポテクのピラミッド」)
オレゴン州公園レクリエーション局の副局長クリス・ヘーベル氏によれば、ダックビルの砂岩は不安定で観光客に危険が及ぶ恐れがあったため、数十年前から周囲にフェンスを設置していたという。
「フェンスも警告板もよく目につくはずですが、この周辺の景観には多くの人々を引き付ける魅力があります。注意書きを無視してフェンスを乗り越え、立ち入ってはいけない場所に入ってしまう観光客が後を絶ちません。公園内では常に問題となってきました」。キワンダ岬では、過去2年間で6件の死亡事故が起こっている。ただし、いずれもダックビルとは関係ない。(参考記事:「【動画】井戸に落ちたヒョウを村人総出で救出」)
公園管理局では、キワンダ岬の危険区域への立ち入りを防ぐために、新しい警告板やフェンスを設置したり、観光客に直接注意を呼び掛ける現場スタッフを配置するなどの対策を検討してきた。また、この動画にどう対応すべきか、警察と話し合っている。
へーベル氏は、これをきっかけに人々が自分の行為を振り返ってくれればと話す。「あの岩に足をかけた人はすべて、少しずつダメージを与えていました。次に同じようなことをしようと考えた時に、今回のことを思い出していただきたいです。公園は、すべての人が楽しむためにあるものです。次に訪れた人の楽しみを損なうことのないようマナーを守ってほしいと思います」(参考記事:「「イスラム国」が破壊した文化遺産」)