第4回 二足歩行には人工知能的な話が全部詰まっている

 飯田さんがスイスで博士号をとった後、ポスドク(博士研究員)として研究生活を送ったアメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)でのこと。

 ミツバチのナビゲーションの研究の次に飯田さんがMITで取り組んだのは、今も続いている二足歩行の研究だったそうだ。ルンバの生みの親ロドニー・ブルックスを頂点にした研究所で、世界中から様々な研究者が集まるロボット梁山泊にて、飯田さんは、若手ロボット研究者として頭角をあらわしていたラス・テッドレイクと共同研究をすることになった。テッドレイクは、二足歩行ロボットの研究では知る人ぞ知る存在で、取り付けられたセンサーの情報を頼りに、様々な場所で床面が変わっても歩き方を学習するロボットなどが知られている。

「僕が当時やりたかったのは、やはり制御と学習。それから、体との関係をどうやって理解したらいいのかなということなんです。コラボレートすることになったテッドレイクという若手の先生は、バックグラウンドは違って、僕はちょっとメカ屋さんで、彼は制御屋さん。でも、方向性は似ていて、やっぱりどんな制御をするにしても、体のことがわかんないと駄目だよねと。体のことが分かれば、制御の問題もすごいクリアになるし、学習の問題もクリアになる、という考えでした。学習自体、非常に大きなテーマで、それにも体が大きく効いてくるんですね」

 まさに歩行を学習するロボットというのは、そういった背景から出てきたわけだ。飯田さんも、当然、この研究にかかわっている。

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