「日本は気をつけろ」米大手鉄鋼CEOが放った仰天発言
アメリカのバイデン大統領は、日本製鉄による米USスチールの買収に「待った」を掛けた。これを受け、自社による買収を目論む米大手鉄鋼メーカー、クリーブランド・クリフス社のローレンソ・ゴンサルベス最高経営責任者(CEO)が、米世論を“反日”に誘導すべく動いている。
CNBCの報道によると、ゴンサルベス氏は1月13日、同社のペンシルベニア州バトラー工場で開かれた記者会見において、日本を「邪悪」と表現。さらに「日本は中国に多くのことを教えた」と述べ、鉄鋼産業における不公正取引の手法を中国に伝授したとして非難した。
90分以上に及んだ記者会見の中で、ゴンサルベス氏は「日本は中国にダンピングの方法、過剰生産能力の高め方、過剰生産の仕方を教えた」と具体的な非難を展開。製品を不当に安い価格で販売する「ダンピング」や過剰生産の手法について、日本が中国の手本となったと主張した。
石破首相にも向けられたCEOの矛先
さらに同氏は、「日本は気をつけろ。お前たちは自分が何者か分かっていない。1945年以来何も学んでいない。私たちがいかに優れているか、寛大か、度量が大きいか、許す心があるかを学んでいない」と、第二次世界大戦に言及しながら激しい言葉で攻撃を続けた。
日本製鉄によるUSスチール買収を巡っては、買収阻止の方針を示したバイデン氏に対し、日本の石破首相が懸念を表明している。ゴンサルベス氏は石破氏の姿勢も槍玉に挙げ、「石破氏は、次期トランプ大統領が就任した際にも、同じ主張をホワイトハウスに持ち込んでみるとよいだろう」と挑発的な言葉を放った。
ゴンサルベス氏が目論むのは、自社によるUSスチールの買収だ。氏は記者会見で、「(USスチールを)買いたい」と明言している。
「私には計画がある。アメリカですべて完結できる解決策を用意している。その解決策は人々、労働者を中心に据えたものだ」と述べ、USスチール買収への強い意欲を示している。だが、同社による買収は市場の独占につながるとして、米国内に反発も強い。
ゴンサルベス氏による一連の発言に対し、USスチールは声明を発表。「重要な同盟国である日本の人々に対するゴンサルベス氏の言葉による攻撃に非常に失望している」と強く批判している。
この記者会見は当初、クリーブランド・クリフス社による鉄鋼大手AKスチール買収5周年を記念する場として設けられていた。本筋から大きく脱線し、日本批判に時間を割いた形だ。