夏も過ぎ去り、冷やし麺を多く食べる時期も終わりました。
忙しい人、一人暮らしの人、料理が苦手な人、合理的な生活を目指す人などにとっては市販の濃縮麺つゆは便利なアイテムです。
美味しい自家製の麺つゆを作る人も多いでしょうが、今どき昔のように自家製の「手前味噌」を作る人が減ったように、これもまた時代の流れともいえます。
市販の濃縮麺つゆの場合、1リットル程度の大型のボトルの物が比較的割安で、そのうえ時には値下げ販売がされていて利用しやすい商品です。
ただ、量が多いため残ってしまうとどうするかと困る人もいるでしょう。
「賞味期限」も書かれていますがこれは開封までの保証であって、そのあとは「お早めにご使用ください」という事になっています。
冷蔵庫で保存すればしばらく持ちますが、さすがにいつまでもというものではありません。
ご存知の方も多いでしょうが麺つゆは醤油と出汁(うまみと風味)と甘みをあわせた複合調味料で、和食などの味のベースとして利用できます。
メーカーでも
「創味のつゆ レシピ http://www.somi.jp/products/tsuyu.php#recipe」
「ヤマキのめんつゆ・レシピ http://www.yamaki.co.jp/mentsuyu/」
「キッコーマン 濃いだし 本つゆ http://www.kikkoman.co.jp/kikkoman/tuyu/hontuyu/」
などに多くの利用法を紹介しています。
「それでも多い、持て余す」という人もいるでしょう。
まあ、実は一番簡単な方法は「小分けをして冷凍する」という手が便利なのですが、ここでもう一つ保存法+利用法として「麺つゆ酢」というものを提案します。
基本的には3倍濃縮麺つゆに対し酢をその半量、つまり3倍濃縮麺つゆ2:酢1の比率で加えます。
これによって麺つゆの発酵腐敗、カビの発生を抑え、醤油成分等の変質を遅らせることができるはずです。もちろん保管は冷蔵庫でしてしてください。
4倍タイプだと麺つゆ:3酢2、2倍タイプだと麺つゆ3:酢1になります。
使い方としてはまず「酸味のある麺つゆ」があります。例えば水の代わりに無調整豆乳や食塩無添加のトマトジュース(又はトマト野菜ジュース)で薄め「変わり麺つゆ」として使えます(これらは酢を入れない普通の麺つゆでもおいしい)。豆乳にはすりゴマ、トマトジュースにはオリーブオイルを加えても面白いです。
3倍濃縮麺つゆ酢3:水1におろし生姜とゴマ油、お好みで砂糖を少々入れると「冷やし中華のたれ」が出来ます。ここにすりゴマ1とマヨネーズ0.5を練り合わせたもの又は練りゴマ1を入れると「冷やし中華ゴマだれ」にも出来ます。この分量を大さじ(15cc)で合わせるとだいたい生めん100グラムの冷やし中華約一人前の分量になります。
4倍濃縮麺つゆ酢だと2に水2であわせ、2倍濃縮の麺つゆ酢だとそのままで4になります。後のレシピはこれで換算してください。
これらのレシピは「目安」で、麺つゆごとに味が違い、お好みも有るので味をみてからお好みで調整してください。
麺類以外でも煮物にも使えます。鶏肉や青魚、油で炒めた野菜(根菜もおすすめ)などで「さっぱり煮」といわれる料理が出来ます。適当に水(又は酒)で薄め、お好みで砂糖やみりんを。
酢豚などの甘酢あんも出来ます。3倍濃縮麺つゆ酢3:酢1〜1.5:水0.5〜1:砂糖0.1〜0.5と生姜とゴマ油とお好みで唐辛子。水どき片栗粉でとろみをつけてください。
醤油ドレッシングにもなります。3倍濃縮麺つゆ酢3:酢1:オイル2が基本、ノンオイルだと3倍濃縮麺つゆ酢3:酢2。酢はレモン汁やかんきつ酢やワインビネガーでもよいでしょう。
スパイスや魚醤を隠し味にしても美味しく、肉や魚にも使えます。肉の場合は少し砂糖を足してもよいです。
これに細かく切った玉葱のみじん切り又は大根おろしを1加えると和風玉葱ドレッシングやおろしドレッシングにもなります。
この「麺つゆ酢」は和食でいう「三杯酢」に出汁の風味を加えた「土佐酢(カツオ風味)」「松前酢(昆布風味)」という「合わせ酢」にも近いものになります。
3倍濃縮麺つゆ酢だと三杯酢の加減、4倍だと濃い目の味、2倍のものだと少し薄め。
このままだと味が濃いので目的に合わせ水で薄めるなどしてもよいです。3倍濃縮麺つゆ酢だと4か5、4倍だと6か7、2倍だと3を加えると「吸い酢」と呼ばれるモズクなどに味をつけ、そのままでも飲めるタイプの合わせ酢にもなります。
南蛮漬けやチキン南蛮に使う「南蛮酢(又は甘酢とも)」は3倍濃縮麺つゆ酢3:水2:酢1と唐辛子少々を加え一度沸かしたものです。お好みでレモンスライスや焼き白ネギなども加えます。
ポン酢(ポン酢しょうゆ)を作るなら、基本的には3倍濃縮麺つゆ酢2:濃口醤油1:かんきつ酢(レモン、柚子、スダチ、カボス、ダイダイ、ユコウ、ライムなど酸っぱいかんきつの汁)1が基本で、それがなければグレープフルーツ100%ジュース又は酸っぱい目のミカンなどの汁と酢を半々で合わせたもの1でもよいです。お好みで加減してください。
「麺つゆ酢」を用いて野菜などの漬物も作れます。
大根・白菜・キャベツ・玉ねぎ・瓜・きゅうり・ナス・みょうが他多くの野菜でできます。切った野菜をタッパーウェアやビニール袋に入れ「麺つゆ酢」をまぶすだけです。
もう少し手間をかけれるなら一度薄く塩を振り、少し置くか揉むなどし、余分な水分アクを出してから水洗いをし、そのあとでつけてもよいです。
切った野菜を風干し(扇風機を使ってもよい)や日干しにしてから漬けても構いません、瓜類だと「雷干し」に出来ます。
切り干し大根などを洗ってから漬けるハリハリ漬けにも使えます。
焼いた野菜やキノコ類も漬けられます。
ストレートの麺つゆでも2〜3割程度の酢を加え、そこにカット野菜のサラダの残りを漬け「サラダ漬け」にすることも出来ます。
ユズやミカンの皮や汁、柿の果肉、刻んだ酢昆布や味は濃くなりますが塩昆布などを加えてもよいです。生姜とゴマ油とお好みで砂糖を少し加えると中華風の漬物にもなります。
スパイスも様々なものが使えます唐辛子や山椒やコショウ、カレーパウダーもありです、オリーブオイルなど香味油を加えてもよいでしょう。お好みで酢を増やしてもかまいません。
残った野菜を長持ちさせることが出来ます。
「麺つゆ酢」に加える「酢」もここでは基本的に手に入れやすい「穀物酢」や「米酢」を想定していますが。お好みで「黒酢」や「ワインビネガー」レモン汁などの「かんきつ酢」などをブレンドしてもよいと思います。
唐辛子を筆頭にコショウ山椒や生姜ニンニク、カレーパウダーなどのスパイスを加えてもよいでしょう。
現代の日本食は比較的「健康に良い」とされますが「食塩(ナトリウム)」の摂取量が多くなりがちなのが問題です。
食塩を減らすためには酢の酸味や出汁の「うまみ」や風味成分、スパイス・ハーブの香りや刺激を用いることは有効で、より良い食生活につながるでしょう。「薄味」にしても食べごたえがあります。
野菜を多く食べる手法としても使えると思います。
この「麺つゆ酢」がそのヒントになればよいと考えます。
一つの提案としてご利用ください。何か他の利用法などがあれば教えていただければ幸いです。
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