「ダイナマイツコメンテーター!!の巻」(ジャンプ・コミックス133巻収録)
今回は、両さんが時代を鋭く斬り、庶民の本音を代弁する論客として、マスコミの寵児と化すお話をお届けする。
本作が描かれた平成14年(2002年)は、ネットを武器にした企業家たちがSNSを巨大産業化し、それと同時に自らをカリスマ化していく時代の訪れが見えてきていた時期だ。その流れは企業に限ったことではなく、まったくの無名だった個人が、SNSによって瞬時に大きな求心力を持つ存在になり得る時代のはじまりでもあった。
本作中の両さんは、歯に衣着せぬ論調とキャラクターのインパクトの強さで、現代でいうところのインフルエンサーと化している。その両さんが活躍するメディアが、現在ではすっかりオワコン呼ばわりされている「テレビ」なのが、なんとも皮肉だ。
一方で、「世の中の欲求を読み取り、個人が発信する体裁で表現」し、「バズるためならなんでもする、過激化する」姿勢は、ネットを軸にした現代のインフルエンサーたちそのものだ。
本作を読んで笑ったあとには、時代の移り変わりによって変わっていく環境と、ちっとも変わらない人間の本質とが垣間見えて、ちょっとだけ考えさせられてしまうかもしれない。
それでは次のページから、平成の世に吠えまくるインフルエンサー、両さんの勇姿!? をお楽しみください!!