自由とカオスと町田

著: もぐもぐ 

自分の人格形成に影響があったものはいくつもあるけど、そのうちの大きな1つが育った街だと自信を持って言える。

昼夜問わず雑然としてた。常に発展途上な感じだった。妙なエネルギーがあった。不思議な独立心があった。大人ぶった子どもも、子どもみたいな大人もたくさんいた。ごちゃごちゃしててガヤガヤしてて、治安はお世辞にもよいとは言えなかった。都会と田舎、新しいものと古いもの、小ぎれいさと汚さ。すべてがグラデーションで重なっていて、つかみどころがない町田。東京なの?神奈川なの?とネタにされることも多い。

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中学から都心の学校に通っていたので、地元を歩くときはたいてい1人だった。友達と遊んだ記憶はあんまりない。

でも、1人で心を満たす場所と方法はたくさんあった。

109(町田にマルキューができたときの誰に対してか分からない得意げな気持ちよ!)やJORNAやルミネやマルイで買い物したり、とにかくごちゃごちゃとした仲見世商店街で大判焼きを買い食いしたり、特にあてもなく古着屋をぶらぶらとウインドーショッピングしたり、緑色の看板のローカル書店・久美堂で参考書を物色したり、パフェブームに押されて激混みになる前のカフェ 中野屋でのんびりしたりした。

バレンタインに備えるべく(女子校の2月14日は超壮大なお祭りなのだ)今やすっかり全国区の食材店・富澤商店の本店で薄力粉やチョコレートを大量に買ったり、泥沼恋愛に端を発するいろんな悲しみが重なりに重なった結果のめちゃくちゃ暴力的な気持ちをなだめるために小田急百貨店の化粧品売り場でデパートコスメを買いあさってから、普段は全然行かない「町田家」ののれんをくぐって味の濃い豚骨ラーメンに戦いを挑んで積極的に疲れ果てたりした。

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(「町田家」と「この世の天国」が隣り合うこの交差点、ものすごく好き)

年を重ねて選ぶ店は変わっていったけど、駅から徒歩10分圏内に世界のすべてがあって、いつでもその時しっくりくる空間にトリップできる感じが好きだった。新宿とか渋谷とか銀座とか、東京の街にはそれぞれ役割があるように感じるけれど、町田はなんとなくぐちゃっと、全部入りだ。

意味もなく新しい服を着て背伸びしてお金を使いたい日も、おなじみのヴィレッジヴァンガードやソニプラを巡り巡って友達の誕生日プレゼントを吟味した中学時代のあの日も、親と大喧嘩して家出みたいに飛び出して漫然と時間をつぶした1日も(逃げ出すほどの勇気もあてもない)、どんな気分でもどこかには行けた。

何をしても、何もしなくてもよかった。ネットカフェに1日こもってDVDを再生しながら漫画を読みあさってもいい。超巨大なブックオフで中学生男子に混ざってドラゴンボールを立ち読みしたっていい。何も生産しないという選択肢を意思を持って選べる。

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ドン・キホーテの前で数人のギャルが座り込んで談笑して自撮りしてる。目つきの悪いアッパーなお兄さんがヒップホップが流れる服屋の前でだるそうに立ってる。よれよれの服を着たおじいさんが慣れた顔で丸亀製麺に入っていく。西友やダイソーの袋を乗せたおばちゃんが自転車で猛スピードで駆け抜ける。アニメイトの青い袋を持った中学生がゲーセンの前で早口で会話している。全部許されている感じがすごくいい。

みんな、好きな世界で生きたらいいんだ。
同じ場所にいても、たった数歩立っている場所が違うだけで、生きている世界も信じてる神様も違う。

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小田急線の改札口を出てすぐ、バスロータリーに臨むビルの壁に「まちだはまちだ」という垂れ幕がかかっていて、見るたびににやっとしてしまう。

まちだはまちだ。そうだよなあ。市外局番が03じゃなくて042で、駅前に集うのは都バスじゃなくて神奈川中央交通で……まぁとにかくそういうことで、町田は町田なのだ。

はいはい分かる分かる、神奈川県町田市ね、とからかわれて、「違いますちゃんと地図見てください、まぁ見ても神奈川かな?って思うでしょうけど!」とネタとして怒ったりしながら、よく考えてみるとそもそもそんなことあまり意識したことがない気がする。東京でも神奈川でもなくて自分は町田の民だと思っている気がする。

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多分、わたしの町田への愛はインターネットへのそれと似ている。そこは誰のものでもないし、何でもないし、何にでもなる。こちらの気分で表情が変わる。乱雑にごろごろと、いろいろな色と温度のものが転がっている。それぞれの人が好きな方向を見ている。ゴミも宝も、選ぶのは君だ。

そういう自由。ここは自由の街。
戻る度に好きだと思う。このカオスを愛してるって思う。

 

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著者:もぐもぐ (id:haruna26)

もぐもぐ

町田とインターネットがふるさとの平成元年生まれ。だいたい毎日ハッピーです。今日も元気です。

ブログ:インターネットもぐもぐ Twitter:@mgmgnet