今年のまとめ。2024年1-2月頃の出来事は当時記事にしたので、それ以後のことを扱う。ムジュラのLaundary Pool Clip(1st cycle skip)、時オカのDynawarpおよびStale Cutscene Manipulationについては次を参照。
- 2023年のムジュラRTAニュース:2つの1st cycle skip、Any% unrestricted、Any% NMG - 古い土地
- 2024年1月の時オカRTAニュース:Ganonfloor(ガノンフロア)、SRMカテゴリの分割、500ドルの懸賞金 - 古い土地
- 2024年2月の時オカ・ムジュラRTAニュース:Ganonfloor(ガノンフロア)続報、4つ目の1st cycle skip、いろんなWrong Warp - 古い土地
ムジュラの仮面
ムジュラRTAを代表するカテゴリAny% No Major Glitchesの世界記録が1時間13分を切った。ハイリスクローリターンの超難度技の連続かつボス戦で乱数も絡むため、この記録は本当にすごい。
- Majora's Mask any% NMG WR - 1:12:53 - YouTube (by thesausage, 2024/6/12)
ついでにルール無用のAny% Unrestrictedもチャートが変わり、17分を切った。
- [WR] The Legend of Zelda: Majora's Mask - N64 - Any% Unrestricted in 16:51 by JTown2909 - YouTube (2024/8/19)
以前は北米版Wii VCを使って「デクリンクACE → ゴロンの仮面を経由して人間に → ムーンワープSRM → 鬼人の仮面でムジュラ討伐」というチャートだった。今回は日本語版N64で可能になったオカリナ抜きクレジットワープを用いて、「Laundry Pool Clipでキータンのお面入手 → ハニーとダーリンの店で人間に → 天文台SRM/ACE」で終了。何気にLaundry Pool ClipがメインカテゴリRTAに採用された初の事例になっている。
動画冒頭で「fuck the ruleset」と打ち込んでいるのは儀式でもなんでもなく、計測開始/終了時点やファイルネーム書き込みやコントローラー周りで議論がごちゃついたことへの抗議*1。
ついでにLaundry Pool ClipのおかげでLow%も更新された。魔力とキータンのお面の2つで終わり。母への速達は消費すればアイテム数にカウントしないらしい*2。
- [WR] The Legend of Zelda: Majora's Mask - WiiVC - Low% (2 items) in 37:41 by JTown2909 - YouTube (2024/9/7)
他にAll Masks NMGと100% NMGがそれぞれ3分ほど更新されている。
- Majora's Mask All Masks NMG WR - 2:15:20 (by thesausage, 2024/10/13)
- [WR] 100% NMG in 4:27:51 - YouTube (by jess57329, 2024/8/9)
All Masksは2023年に見つかったSongless Remains Escape(オカリナ抜きでボス戦後のムービースキップ)が主な更新要因。一応Laundry Pool Clipも取り入れており、Any% Unrestrictedに続いてこれを採用した2つ目のメインカテゴリRTAとなった。しかし序盤にキータンのお面とポストハットを入手するところから諸々チャート変更して最終的に10-12秒しか短縮しないらしい*3から、ぶっちゃけ趣味の範囲だと思う。
100%には特にチャート変更がない。更新は専ら乱数と最適化による。Sum of Best + 8:34 をさらに詰めることはできるのか。
その他
- 2024年8月、ドッグレースのミニゲームにおいて絶対に勝てないはずの青い犬が勝つ動画が初めて撮影された。グリッチを使う方法と使わない方法の2つがある。
https://x.com/sera18171/status/1824261092132241849
Why Majora's Mask's Blue Dog Took 25 Years to Win the Race - YouTube
時のオカリナ
2つの新しいワープ技
新技Dynawarp(マップを多重ロードしてバグったマップ移動の出口を作る)を用いたDefeat Ganon No SRMは、ついに10分30秒を切った。1F猶予の入力が4回必要なSkull Pushをポーズバッファ抜きで行ったのが主な更新要素。ポーズ画面の開閉がめちゃくちゃ遅いGC版の不利をごり押しで突破した形になる。
- ゼルダの伝説 時のオカリナ Defeat Ganon (No SRM) 10:22(RTA字幕解説) - YouTube (by TKC, 2024/7/4)
しかし2024年を振り返ってみると、DynawarpとStale Cutscene Manipulation (ヒープメモリを調整して任意のムービーを流せるWrong Warp)という2つの強力なワープ技は、DGnSRM以外のメインカテゴリRTAに活用されなかった。以下、大技すぎて組み込むのが難しいという話をする。
試行自体はあって、たとえばAll Dungeons向けのLOTAD(Low Optimization Tool Assisted Demonstration, デモンストレーション用のTAS)が2つも作られている。
- LOTAD for All Dungeons No SRM VC Route with Heap Credits Warp - YouTube (by Noah Philips, 2024/4/13)
- All Dungeons w/ Dynawarp Route LOTAD - YouTube (by Malicia, 2024/8/17)
どちらも中々面白い。しかし現行のWii VC/N64チャートが最適化されまくっており勝てなかった模様。
これを見ていると、100% No SRMさえ新技による更新余地があるか不安になる。現行の100%ルートは移動が案外ネックになっておらず(無駄なくアイテムを収集している)、またDynawarpは1回ごとに意外に時間がかかる。いずれにせよLOTADが完成するまで見積は不可能だ。
あと100%の場合はiQueという中国語版N64がハードとして有力視されている。iQueはテキスト送りの速さから2013-14年の間だけAny%(現在のDefeat Ganon)の最速バージョンだった。時オカ的にはN64とGCの中間ぐらいの挙動をする。つまりGC版と同様にEnemy Audio Dynawarpが可能であり、ポーズ時のラグはN64版くらいでGC版ほど遅くない。ただN64版同様大人でデクの棒を使うとフリーズするとか、異空間でボムチュウを放つとフリーズするとか、都合の悪い部分も多い。iQueがまたメインカテゴリ最速バージョンになったらかなり面白いけれど、あまり期待できない。
新技2つを合わせてこういう面白い技も見つかっている。GC版、しかもPAL(欧州版)限定。
デバッグ用の「タイトルファイル」を読み込んで大量のアイテムを入手するグリッチは時オカ3Dで2017年から知られていた。ボスラッシュモードでWrong Warpを使うという3D版特有の手法。その後2020年に原作時オカでTitle File SRMが発明され、今回No SRMでもタイトルファイル読み込みができるようになった。
面白いし強力なグリッチだが、やはりメインカテゴリRTAには寄与しない。セットアップに時間がかかる上、各カテゴリのレギュレーションに抵触するのだ。100%やMSTではSource Requirement(正規の手段でもアイテムを入手する)の縛りに反する。All Dungeonsは闇・魂のメダルをブルーワープから入手できなくなる。No Wrong WarpはWrong Warp禁止なので当然不可。
現状において、Dynawarpは単に既存チャートが早すぎて採用されないと言ってよい。一方Stale CS Manipはレギュレーションの書き換えを要求する過激さを秘めている。結構厄介な存在なのだこいつは。
Stale CS ManipはいつものWrong Warpと原理的には変わらないらしい(実際ジャブジャブWWでは道中の木箱を壊すなど謎のメモリ調整を行う)。しかしボムチュウを特定角度で2回放つといったメモリ調整の儀式からは、どうしてもSRMを想起してしまう。No SRMとSRMのカテゴリ分割は厳密であるべきなのに、その境が実は曖昧であることを示すグリッチだ。
また現状では時間こそかかるけれど、どのムービーにも飛べるがゆえにムービー中に入手するアイテムならなんでも取得可能というのは扱いに困る。例えばRBA/BA/GIMなどのアイテム不正入手系グリッチを禁止するカテゴリ(MSTとかRDOとか)において、Stale CS Manipによるクレジットワープは許されるのか? レギュレーションに「Stale CS Manipによるアイテム入手は禁止」と書くのか、面倒だから「Stale CS Manipは一律禁止」とするのか? 専門家によると、後者はWrong Warp全般を禁止することと同義になってしまう。
さらにSource Requirementの縛りにも再考を促す。Stale CS Manipを使うとドドンゴの洞窟でゼルダの子守歌の取得ムービーを流すことも可能だが、これは正規入手と言えるか? 「正規の場所と正規のムービーが揃って初めて正規入手だ」という答えは妥当だろう(レギュに記載がないので新たに書き込むべきだが)。では、間違った場所から光の矢取得ムービーに入り、ムービーの進行とともに本来の場所に回帰して光の矢を入手した場合はどうか?
これらの問題とは別に(しかし全く無関係というわけでもない)、Stale CS Manipがうまく刺さりすぎて議論を呼んでいるカテゴリがある。Ganonlessがそれだ。従来の世界記録は29分13秒(by Lozoots, 2019/12/9)で、Stale CS Manipを使うと15分前後でクリアできてしまう。
- Ocarina of Time Category Extensions - Speedrun.com
- Ocarina of Time: Ganonless in 15:57 [WR] - YouTube (by Thunder OoT, 2024/8/29)
GanonlessはSRM以前のメインカテゴリであり、Wrong Warp発見直後の2か月間はAny%のルートだったこともある。SRM/ACEを用いた2020年以後のAny%がもはやガノンを倒さないため、ルート保存を目的としてカテゴリエクステンションに移行した。
このような経緯から大幅更新するような新ルートが歓迎されていない。さらにStale CS PointerがSRMを想起させることも納得感を欠く。私なんかはStale CS Manip / Legacy でサブカテゴリ分けすれば済む問題と思ってしまうが、そもそもGanonlessがメインカテゴリに残らなかったことに納得していない人がいるようだ。SRMが時オカコミュニティに残した傷は今なお癒えていない。
2024年11月に投票が行われ、Stale CS Manipを使うルートはサブカテゴリ分けすることに決定した。3人分の記録が集まればspeedrun.comのページが作られる。
GSR
GSRはGanondorf Source Requirementの略称。Wrong Warpとアイテム不正入手系バグの禁止が主旨の人気カテゴリで、昔は「No RBA/WW」(No Reverse Bottle Adventure / Wrong Warp)とか「No IM/WW」(No Item Manipulation / Wrong Warp)と呼ばれていた。2019年5月頃ボス戦後のムービースキップに関連して、「GSR」と再定義・カテゴリ分割がなされた*4。
2024年2月、GSRで1時間8分2秒(by Marco)という凄まじい記録が出た。そのとき私は「理論値を30秒縮める新たなグリッチ・チャートが開発されるまで、この記録は更新されないのではないか」とコメントした。
7か月後、新チャートにより世界記録が更新されてしまった。
- Ocarina of Time GSR Speedrun in 1:06:49 (WR) - YouTube (by CountLG, 2024/9/21)
核となる変更はミラーシールドの入手方法。魂の神殿外部を上るのにいつものホバー(Spirit Hover)ではなくHookshot Jump(Spirit Jump)を使っている。このおかげで他の箇所でバクダンを使えるようになり、理論的には22秒早くなる。
Spirit Jumpルートはとても難しい。ジャンプのトリガーとなる黄金のスタルチュラは、ゲーム内時間夜のみに出現する。現記録はゲーム内時間の進む野外での動きを完璧にしているが、それでも魂の神殿に辿り着く頃には夜明け前で、あと10秒でスタルチュラが消えるところだった。野外でのHESSを1,2回ミスったらリセット確定(そもそもバクダン数がギリギリ)のとんだガン攻めチャートである*5。
1時間8分切りどころか7分切りまでしているのは、細部に最適化を施しながらSpirit Jump以外のハイリスクローリターン技を積極的に取り入れたからだ。SoBは1時間5分51秒(動画内の数値は不正確)なので、SoB+58秒で走り切ったことになる。ヤバい。
ところでGSRに関連して調べ事をしていたら長い記事ができてしまった。興味のある方はどうぞ。
1 Death Jabu Wrong Warp (Pot Push WW)
これまでAll Dungeons、MST、100%といった中長時間カテゴリで使われてきたジャブジャブWW*6は、ブルーワープ内に陣取っているルト姫の前で2回自殺&妖精復活する必要があった。絵面は面白いがいかんせん時間がかかる。2024年7月、部屋の隅に落ちている壺を使って自殺を1回減らすセットアップが開発された。
これで20秒短縮し、自傷用のバクダンも節約できる。しかしもともと難しかったジャブWWの難易度はさらに高くなる。
ところで、Reverse Dungeons Order(RDO)というカテゴリだと1 Death Jabu WWの爆発物節約がピンポイントに刺さるようだ。
- OoT Speedrun : Reverse Dungeon Order in 1:29:03 (WR) - YouTube (by TKC, 2024/9/29)
RDOはその名の通りダンジョンを逆順に攻略するカテゴリ。アイテム不正入手グリッチとダンジョンの途中退場(闇の神殿でホバーブーツだけ入手して退散など)は面白くないので禁止されている。
予想されるように最初の魂の神殿が一番厳しく、攻略が進むにつれ使用可能なアイテムは増えていく。しかし単調に楽になるわけではない。入手機会の限られるボムチュウ計20個がどんどんすり減っていくからだ(バクダンは7つ目のダンジョン・ドドンゴの洞窟でやっと手に入る)。他ゲームの逆順攻略と異なり、無双感よりもリソース管理の面白さの方が際立つ。
RDOだとなんやかんや*7で1 Death Jabu WWは50秒-1分程度の短縮になる。現記録は他にも短縮要素を積極的にとりいれ、前世界記録からSoBを2分、実時間を3分更新し、1時間30分切りを果たした。
ボムチュウがあと1つか2つ余ればデクの樹からStale CS Manipでクレジットワープできる……と思ったが、RDOだとメヌエットがなくてヒープ調整がよくわからない。現行チャートのGanondoorの方がおそらく早いのではないか。
Low% All Dungeons
派手なグリッチはもとより、「No Pauses」「Low C Presses」といった縛り状況下での研究も粘り強く進められている。その成果として今回、アイテムを可能な限り少なくするLow%のAll Dungeonsが更新された。
- 15 items (TAS):The Legend of Zelda: Ocarina of Time "Low% All Dungeons" LOTAD in 1:47:25.45 - YouTube (2024/9/20)
- 16 items (RTA):Ocarina of Time Low% All Dungeons Speedrun in 2:12:51 - YouTube (by scurty, 2021/11/8)
フックショットもホバーブーツもバクダン*8もコキリの剣もハイリアの盾もゴロンの服も取らない。あとボレロやメヌエットといった歌の類もアイテムとしてカウントされるので頑張って避ける(例えば迷いの森から森の神殿に行くとサリアが待ち構えていてメヌエット入手が不可避なので、炎の神殿からのデスWWで森の神殿に直行する)。小さなカギとかボス部屋のカギはカウントしない。
では何を取るのか。16 itemsのときは次のような組み合わせだった。
攻略用アイテム(7):デクの棒、空きビン、ボムチュウ、マスターソード、ブーメラン、ハンマー、ミラーシールド
ダンジョン制覇(9):精霊石×3、メダル×6
今回の15 itemsは次の通り。
攻略用アイテム(6):妖精のオカリナ、ボムチュウ、マスターソード、ブーメラン、ハンマー、ミラーシールド
ダンジョン制覇(9):精霊石×3、メダル×6
デクの棒と空きビンという時オカ屈指の強アイテム2つが抜けてオカリナが入った。アイテム数を1つ削るために使えるバグも大幅に制限される。デクの棒なしに井戸チュウどうやってとるんだ(そもそもどうやってコキリの森を抜けるの?)とか、空きビンなしでWWどうやるんだとか、疑問は次々と湧くだろう。答えは君の目で確かめてくれ*9。
よくよく検討すると、15 itemsはLow% All Dungeonsの現状理論値に到達してしまったらしい。
・All Dungeonsのレギュレーション上必須のアイテム(8)
子供ダンジョンから手に入る3つの精霊石
大人ダンジョンから手に入る5つのメダル・ボス攻略に必須のアイテム(5)
バリネード:ブーメラン
ヴァルヴァジア:ハンマー
ツインローバ:ミラーシールド、マスターソード、光のメダル・その他(2)
オカリナ(※下記参照)
ボムチュウ
「レギュ上必須のアイテム」はよいだろう。
「ボス攻略に必須のアイテム」は、まずツインローバ関連が多い。ボスを倒すのにミラーシールドが必要で、ミラーシールドを装備するのに大人リンクが必要、そして大人リンクになる際にマスターソードと光のメダルが手に入ってしまう。ボス攻略を除いても盾・剣系アイテムはそれぞれ最低1つ入手しないと全体の攻略に差し障るだろう。光のメダルは完全に不要だが、今のところ削れない*10。
ハンマーはヴァルヴァジア戦だけでなくガノン戦でも使う。仮にヴァルヴァジア戦でハンマーが不要になったとしても、ガノン戦のことは別途考えねばならない。Stale CS Manipでガノン戦抜きにクレジットワープしてしまうとか?
ブーメランはバリネード戦以外使わない。炎の神殿のヴァルヴァジア戦などブーメランがあると楽になったり短縮できる場面がいくつかある(人力だと特に)が、必須ではない。一番カットしたい部分。
「その他」のうちコキリの森から抜ける手段を考えると、コキリの剣/デクの棒/オカリナのいずれか1つは必須だと分かる*11。つまりコキリの剣/デクの棒でゾーラ川方面にAqua Escapeするか、頑張ってアイテムレスでハイラル平原方面に抜けオカリナをムービー入手するか。コキリの剣は子供時代しか使えないので論外。空きビンがない状況では、Wrong Warpのことを考えてオカリナを取らざるを得ない。
そして最後に、ボムチュウ45個の力を借りずに14 itemsで全ダンジョン攻略するのはどう考えても不可能だ。キングドドンゴ戦*12やファントムガノン戦*13を考えて「ボス攻略に必須」に分類してもよい。
というわけで、15 itemsが現状の理論値と断言できる。14 itemsを可能にするグリッチは、時オカの常識を覆しRTA全般に影響するグリッチとなるだろう。いや、「20時間かけるとブーメランレスでバリネードが倒せます」みたいなのだったら流石に縛りTASでしか使わないけど。
なお15 itemsルートは人力で不可能とまでは言わないが、RTAとしてまともに通すのは難しいだろう。ゼルダシリーズが上手すぎる走者ZFG氏が挑戦している。最近は何故かダンペイのガワを被ってVtuberをやったり*14ランダマイザーで遊んだりしていたが、久しぶりにRTAを走る。100% SRMしかりMax% Childしかり、この人はもはやマゾいカテゴリでしか達成感を得られないのだろうか。
- Ocarina of Time Low% All Dungeons (15 items) Speedrun in 2:18:24 - YouTube (by ZFG, 2024/11/5)
その他
2023年制作のTASをブログ内でまだ紹介していなかったようなので、ここに置いておく。人力では到底ペイしないルートを使っていて面白い。中期版(ver 1.1)というのも珍しい。Bomb OIとBongo Bongo Fast Killを両立させるため。
次の100% TASは2023年制作だが、2024年11月になって字幕解説版が出た。これも紹介しておく。
100% Unrestricted SRMの話を誰もしていない。マップセレクト画面を使えば2時間半くらいでクリアできそう。時オカ裏のDDM SRMみたいにイベントエディター使ったら1時間で終わるかも……。
時オカには「All Cows」というミームカテゴリがある。フィールドに存在する全ての牛にエポナの歌を聞かせてロンロン牛乳を回収するのがその主旨だ。
最近『時オカ裏』でこのカテゴリが成立した。
- All Cows - The Legend of Zelda: Ocarina of Time Master Quest - Speedrun.com
- MQ All Cows SRM Route Doc
今までなんで存在しなかったかというと、時オカ裏では3番目の子供ダンジョン「ジャブジャブ様のお腹」に大量の牛が配置されているせいだ。高所にいる牛に対しては、ホバリングをしようが何しようがエポナの歌を聞かせることができなかった(歌を吹くと落下するため)。
ではどうするか。SRMで「milkevator」をつくり、所定の歌を吹くごとに下から足場がせりあがるようにする。ついでに負の方向に無限大に加速するようにもする(ムジュラのゴロンミサイルや風タクHDのItem Sliding並み)。
Unrestricted SRMのルールセットはこういうことができてしまう。
ワープ技が充実した今、All Dungeons No DoorsのTASをリメイクしたら面白くなるのではないか。チャートを組むだけで相当知識が要る(特にStale CS Manipのセットアップを作れる人が数人しかいない)し、GC版を使うなら既存セットアップも作り直し(ホバーの挙動がWii VC版と違うため)なので、かなり大変な作業になるけれど。
すごい地味だが、時オカのメインカテゴリRTAは空前のGC版時代に突入している。GC版が最速のカテゴリが3つもある(AD unrestricted SRM, DG no SRM, DG unrestricted SRM)のはゼロ年代以来初のことではないか。
代わりに、2017年頃までWii VCと覇を競っていたN64版は今やメインカテゴリ0冠である。バージョン多様性が叫ばれN64版でのAll Dungeons No SRM世界記録奪還に500ドルの賞金が賭けられるのも納得できる。
3DSリメイク
ムジュラ3DでもLaundry Pool Clipが見つかり、それを受けてAny%が9分短縮された。ただ原作と違って乱数が大いに絡み再挑戦が不可能になることもしばしば。Laundry Pool Clip後も全く安定しない。
- 【解説付きRTA】ムジュラの仮面3D 24分28秒でクリア【東北きりたん実況】- YouTube (by iwabi, 2024/3/22)
時オカ/ムジュラ原作でSRMが見つかったのが2019年10月、ムジュラ3DでムーンワープSRMが見つかったのは2021年3月のこと。それから3年半の時を経てようやく最後のピースが埋まった。
時オカ3DはSRM不毛の地なのだろうか? 「無を取得」まではいくつもセットアップが提唱されているが、有用な効果を引き出しているものはあまり見かけない*15。原作と比べてヒープ調整が難しすぎる。
【時のオカリナ・ムジュラの仮面】SRM/ACE以降の ゼルダ RTA 史 part 2/2:2020年3月 ~ 2021年 - 古い土地
とはいえ今更grotto SRMだけ渡されても困る感じはする。現状のセットアップは長くボムチュウ・ブーメラン・パチンコが必要。「有用な」といってもスピードラン的な使い道はまだない。改良して素早くガノン戦に飛べたらAny%のルートは変わるかもしれない。
時オカ3Dに関しては、井戸チュウならぬ井戸バクダンの取得が理論上可能になったことが熱い。爆発物早期取得という発売13年来の課題がようやく達成された。しかも短時間で3つも方法が見つかった*16。
- OoT3D Early Explosives in BotW - YouTube (by siruox, 2024/10/10)
- OoT3D early Bombchu Bottom of the Well with Deku nuts - YouTube (by Lotus Spacia, 2024/11/27)
- OoT3D Early Bombchus in BotW with Spin Attacks - YouTube (by Hylian Freddy, 2024/12/5)
従来のルートではWrong Warpを連続させてガノン城・魂の試練のボムチュウをとるという、それはそれで面白いことをやっている。
*1:コントローラーについて:Laundry Pool Clipにアナログスティック上下左右の正確な入力が必要。Wii VCのプロコンはわずかなズレを自動的に補正してくれる(つまり窪みに倒すと仕様通りの値が出る)のだが、N64実機にはそれがなく、闇のコントローラーガチャが始まりかけた。最終的に上下左右補正のある非純正コンを使って良いことになったらしい。なお、ムジュラではESSのための補正(ESS adapterなど)が禁じられていることに注意。
*2:1 itemを標榜するランもあるが、①ACEでアイテムを入手し、②アイテムをポーズメニューから消しつつ、③Cボタンに保持して使う。特に②でアイテム数カウントを減らしているのはレギュの穴を突いているだけで、Low%として説得的でないよう見える。
*3:ちゃんと計測されたわけではないので実際どうかは不明。計測の難しさにはゲーム内時間の管理が関わっている。あるゲーム内時間に発生するイベントのため待ち時間が発生したり、時の逆さ歌でゲーム内時間の進行を通常の30%にしてイベントに間に合わせたり、間に合いそうだから早めに逆さ歌を解除したりと、考えなければならないことが多い。
*4:ムービースキップしてよいのが「No IM/WW」、してはいけないのが「GSR」。「No IM/WW」はカテゴリエクステンションにある。
*5:補足:時間経過を気にするべきなのは闇の神殿以後、デスマウンテン~ハイラル平原~ゲルドの谷~魂の神殿の区間。このうちゲルドの砦と幻影の砂漠(砂漠HESS)ではゲーム内時間が経過しない。それゆえ走者いわく「You have about 20s of leniency if you do oob dmt climb so it's not too bad(デスマウンテン登山道を領域外ルートで登れば20秒の猶予があるから、そこまで悪くない)」らしい。
*6:行先がドドンゴの洞窟ボス部屋なので「Dodongdoor」とも呼ばれる。仕組みがGanondoor(デクの樹からガノン城へ飛ぶWW)と似ており、それなら「Dodongodoor」と呼ぶべきところを、Wrong Warpの「Wrong」と掛けて「o」を欠落させたネーミング。
*7:RDOで以前行われていた2 Death Jabu WWには2つのロス要素がある:①自傷の際ボムチュウを節約するため魔法のマメを使う。これを子供時代に買うのに10秒。②Equip Swapで妖精入りビンを複製するためポケットタマゴを媒介する。これを入手する会話に20秒。
*8:Low%のレギュではドドンゴの洞窟の宝箱からバクダンを入手した際、「バクダン」と「ボム袋」の2つがカウントされる。このカウント方法は「片方があるけどもう片方がない」という状況がRBAなどで容易に作れることから定められた。Low%ではダブルカウントされるバクダンを可能な限りとらず、ボムチュウだけで進める。
*9:解説がないと意味不明だろうから、日本語コメンタリーを紹介しておく。https://www.twitch.tv/videos/2285689073?t=01h13m18s
ネタバレ:井戸チュウはItemless Cocco DiveとItemless Skull Pushでとれる。本来ボス部屋でオカリナは使えずWWも不可能だが、Horsepush Windy Bで無理やりオカリナを使用可能にする。デクの樹・ドドンゴ・炎のボスを倒したあとロンロン牧場に行っているのはWindy Bの仕込み。全体を通して初期版限定のEmpty Jump Slash Quick Put Away「剣をしまいながら落ちながらジャンプ斬りするとQPAが発動して剣がさまざまな攻撃判定を持つ」を活用する。
*10:大人リンクになる方法として光の矢取得ムービーへのStale CS Manipが2024年に発見されたが、光のメダルの代わりに光の矢を入手してしまうため、アイテム数的には変わらない。
*11:コキリの盾からのHESSを使うすごくニッチな方法もあるが、コキリの盾をとる時点で論外。Forest Escape to Zora's River without Stick/Sword - YouTube
*12:必ずしも「ボムチュウ」でなくともよいが、爆発物系は攻略に必須。ゴロンの腕輪(でバクダン花を投げられるようにする)か、ボムチュウか、バクダン・ボム袋か。
*13:昔はファントムガノン戦のためにLow%でもフックショットを拾っていた。飛び道具の攻撃判定を剣から出すQuick Putaway/Glitched Damage Valueの発見により、ボムチュウとマスターソードだけでファントムガノンを倒せるようになった。
*14:ZFG Is Now a Vtuber - YouTube (2024/9/25)
こうなった理由をZFG氏は「chat bullying me + vtubers bullying me + someone offered to make it for me lmao」https://x.com/zfg111/status/1835471671526150175 と説明している。図らずしもVtuber - 視聴者間における「からかい」「感情労働」の問題をあらかじめ含んでいたようだ。
*15:唯一使えるとされているのがこれ。さほど強そうには見えないが……。OoT3D - Early Bombchus in GTG with SRM- YouTube (by Exodus, 2020/11/20) 。
「There's a lot of nearly very powerful things, but the only proven use I've seen is early explosives using SRM to kill the beamos in GTG and get chus」(2024/3/28)
*16:さらに台湾版/韓国語版(ver1.1)のQuick Putawayで岩を壊す方法もある。