2025年1月23日(木)

災害大国を生きる

2025年1月21日

僕たちはここから逃げない

輪島商工会議所青年部・里谷光蔵さん/茶花強志さん/塩士良一さん

 輪島市で建設業を営む里谷組の里谷光蔵さん(43歳)は言う。

「税金を使って復旧、復興が行われているんだから、形として地元に残るようにするべきです。」里谷光蔵さん

 「復旧はそんなに急ぐ必要はないと思うんです。政治家はよく『復旧を加速させる』と言いますが、実態は県外から大手のゼネコンが来て、仕事を奪われ、外部にお金が流れる。本当は自分たちの手でやりたいのですが……。せっかく全国の皆さんの税金を使って復旧、復興が行われているんだから、それが形として地元に残るようにするべきです。私は仮に輪島の住民が1人になってもここに残る。だから復旧が遅れて困ることがあっても、それを受け入れます」

 輪島商工会議所青年部に所属する里谷さんは被災2日後にこんな経験をした。

 「青年部の仲間が高知から軽バンに物資を詰め込んで支援に来てくれたんです。『被災地に入るな』と言われていた時期なので、彼はその後、ひどく叱られたそうです。恥ずかしい話、(2023年)12月31日まで、他人に本気で感謝したことはありませんでしたが、1月1日以降、私の考えは大きく変わりました」

 一方で、こんな現実もある。

 「従業員でも避難所生活を続ける人がたくさんいます。だから簡単に『前向きに、未来を考えよう』とは言えない雰囲気があることも事実です」

 次に話を聞いたのは、同青年部会長の茶花強志さん(47歳)。工務店を営んでいる。

「輪島が良くなれば、自分たちも良くなる。そういう考えが必要だと思います。」茶花強志さん

 「発災以来、修繕依頼が立て込んでおり、現場を見に行くこともできない状態です。行けば『いつ修繕してもらえるのか?』と聞かれてしまうのですが、現状、明確な約束ができない状況です」

 茶花さんは輪島の将来についてこう考える。

 「今だけ、金だけ、自分だけという考えではなく、輪島が良くなれば、自分たちも良くなる。そういう考えが必要だと思います。輪島は観光のまちではありますが、これからは1次産業にも、もっと注力するべきではないでしょうか」


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