伝説のメタルバンド「ブラック・サバス」の20年ぶり再結成が発表された。今年7月に結成の地である英バーミンガムで、オリジナルメンバーによる一度限りのライブとあって、日本からも熱烈なファンが駆けつけることだろう。
ブラック・サバスのフロントマンは、言わずと知れた「メタルの帝王」オジー・オズボーン。バンドとしてもソロしても成功した唯一無二のミュージシャンだ。2002年にはMTVで妻や子供たちとの生活を追ったリアリティー番組「オズボーンズ」が放送されたが、かつては信じられない奇行を連発している。音楽専門誌編集者が言う。
「最も有名なのは『コウモリ食いちぎり事件』ですね。オジーはソロ時代に、ステージから生肉を投げつけるパフォーマンスを行っていたのですが、観客がそれに対してハトや猫の『死体のレプリカ』を投げ返すことが通例化していました。やがてファンが徐々にエスカレートし、本物の動物の死骸が投げ込まれるようになります。ある日、ステージにコウモリの死骸が投げ込まれ、レプリカだと勘違いしたオジーがそれを頭から食いちぎるパフォーマンスで会場を沸かせました。しかし狂犬病を媒介するコウモリを口に入れたことで、ライブ後に即救急搬送。ツアーの残り日程は、毎日のように病院通いをすることになりました」
オジーが食いちぎったのはコウモリだけではない。生きたハトも‥‥。
「当時のメタルのパブリックイメージと言えば、それまでなんですが、オジーも例にもれず悪魔崇拝者的なキャラクターを演じており、何かしらを食いちぎることが多かった(笑)。ハトを食いちぎったのはライブ中ではなく、記者会見の場でしたが、アルコールや薬物の影響で朦朧としていたオジーがガブリとやったわけです」(前出・音楽専門誌編集者)
そんな激ヤバな伝説は、枚挙にいとまがない。ツアー中、マネージャーとして帯同する妻の衣服を着たまま、文化遺産のアラモ砦で立小便をしてテキサス州のライブを10年間、出禁に。オジーと同じく過激パフォーマンスで有名な後輩ミュージシャンの目の前で鼻からアリを吸い込み「彼にだけはかなわない」と驚かせたり。もはやパフォーマンスではなく、本当にヤバイ人に思えてくる。
オジーは2020年に難病のパーキンソン病患者であることを公表している。発症を知らされたのは2003年だという。病気が発覚して以降、5枚以上のソロアルバムとブラック・サバスとして1枚のアルバム、そしてライブツアーをこなしている。この病気を感じさせない活躍こそ、いちばんの「激ヤバ伝説」なのかもしれない。