国立天文台天文シミュレーションプロジェクトは,天文学専用の新しいスーパーコンピュータを水沢 VLBI 観測所に設置しました.2013年4月1日から本格的な共同利用運用が始まっています.新しいスーパーコンピュータは Cray Inc. の大規模並列計算機 Cray XC30 システム(愛称: アテルイ)です.天文学専用のスーパーコンピュータとして,現時点で世界最速のシステムです.
理論演算性能は,導入時に 502 Tflops (注1)で,2014年9月までに更新を行い 1 Pflops (注1)を超える予定です.アテルイは高速ネットワーク回線(注2)を介して国立天文台三鷹キャンパスや他大学・他研究機関と接続されています.アテルイではこれから5年間,かつてない大規模・高精度なシミュレーションが数多く実行され,「理論天文学の望遠鏡」としての活躍が期待されています.
注1:flops とは計算速度の単位で,1秒あたりの浮動小数点演算数のこと.1Tflops,1Pflops はそれぞれ1秒間に1兆回,1千兆回の演算ができることを意味する.
注2:新世代通信網テストベッド JGN-X の活用によって,奥州市にありながら国内外からのアクセスやデータ転送が容易になっている.
発表者
小久保英一郎(こくぼ えいいちろう) 国立天文台 理論研究部教授 天文シミュレーションプロジェクト長 大江将史(おおえ まさふみ) 国立天文台 天文データセンター助教 |
川口則幸(かわぐち のりゆき) 国立天文台 水沢VLBI観測所教授 中野守(なかの まもる) クレイ・ジャパン・インク |
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