便利な技術ではあるけれど…。
写真の無断転載を防ごうと、今のフォトグラファーたちはすでに苦しい戦いを強いられています。しかし、NVIDIA(エヌビディア)の新技術によって、オンライン上の写真を守ることはさらに難しくなりそう。というのも、NVIDIAは写真に施されたテキストや透かし、そしてノイズを取り除くことができる人工知能を開発したからです。
先日、NVIDIAはフレームを補完して滑らかなスローモーションを生成する技術を発表しました。これは正しいアウトプット(正しいスローモーション動画)を理解できるように、あらかじめ何千もの動画を学習していました。
しかし今回、NVIDIAとMITそしてフィンランドのアールト大学の研究者らは、同じ画像を2バージョン(どちらもノイズや加工が入っていてOK)見せて、そこからノイズや粒子、その他の加工などを取り除くようAIを訓練。そうすることで従来とは異なり、ノイズなどのないバージョンを見せずとも、それらを取り除いたバージョンへと補正できるようになったのです。5万枚のサンプルで訓練されたのち、AIは写真修復のプロよりもきれいに補正できるようになりました。
このAIの使い道としては、望遠鏡で撮影された長時間露光の夜空の写真を補正するといった活用法があげられています。天体写真に使われるカメラはノイズを生成してしまうことがあり、それが星々と間違われるのです。また医療現場でも活躍が期待できます。MRIでは、生成された画像からノイズを取り除く膨大な後処理が必要とされます。そこでこのAIを活用すれば、医者たちが患者の体内で起きていることを把握するのに役に立ちます。MRIの処理時間を劇的に減らせるということは、深刻な病状の診断に必要とされる時間を減らせるということでもあります。
しかし、迅速かつ簡単に画像から透かしを取り除けるこのAIが世間にリリースされでもしたら、間違いなく問題を引き起こすことになるでしょう。2つの異なるバージョンを必要とする現段階での機能制限は、AIが速いペースで賢くなっていく中では一時的な妨げにしかなりません。 この技術の良い点を挙げるとするなら、ミームを作る際に元ネタ画像を求めてGoogleを探す必要がないとうこと…でしょうか。
Image: YouTube
Source: NVIDIA, YouTube
Andrew Liszewski - Gizmodo US[原文]
(たもり)