被災地への思いを胸に今季への意気込みを語る上田選手=金沢市内のホテル

  ●本社インタビュー

 サッカーJ3ツエーゲン金沢のGK上田樹選手(23)=内灘町出身=が9日までに、北國新聞社のインタビューに応じ、能登半島地震について「いつまでも絶対に忘れちゃいけない災害。被災地のためにJ2昇格を必ず届けたい」と今季への意気込みを語った。

 小学4年でサッカーを始め、ゴールキーパー一筋。ツエーゲンU―15、U―18を経て2020年にトップチームに昇格した。23年までツエーゲンで出番はなかったが、昨季、リーグ戦38試合中、36試合に出場し、守護神の座をつかんだ。「トップチームで戦い抜けたことは自信になったし、充実した1年だった」とシーズンを振り返った。

 J2復帰を逃したチームはリーグワースト8位(全20チーム)の52失点だった。「失点が多く、もっと防ぎたかった。安定感を増して、チームを勝たせるキーパーになりたい」と責任感をにじませた。

 昨年の元日は内灘の実家で被災し、家族と一緒に高台まで避難した。実家は壁にひびが入り、液状化現象で傾いた家屋や波打った道路に衝撃を受けた。「受け入れがたい現実だった。当たり前のことに感謝しないといけないなと感じた」と変わり果てたふるさとの姿に悲しさが募った。

 試合に勝つことが被災地に勇気を与える唯一の方法だと感じている。「石川県みんながツエーゲンを応援してくれていると思う。ちょっとでもいいニュースを届けたい」。石川の生え抜き選手として、人一倍強い思いで今季を迎える。

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