Windows RTは、「Office Home & Student 2013 RT」(以下、Office 2013 RT)と呼ぶOfficeアプリを標準で導入している。タッチ操作を大幅に取り入れた次世代のOfficeとはいっても、これまでのOfficeは、デスクトップアプリケーションとして開発しているため、デスクトップアプリケーションを追加で導入できないWindows RT向けの救済措置としてOSにOfficeを標準で付属することになった。
ただし、2012年10月26に出荷を開始した「Surface with Windows RT」(以下、Surface RT)が導入しているのは、β版に相当する「Preview」版で正式なバージョンでない。だが、初回起動時にWindows Updateをチェックすると、700Mバイトを超えるOfficeアップデートの存在が確認できる(言語パックで日本語を導入した場合)。日本語の言語パック導入後にアップデートを適用すると、Officeを日本語化した上で正式な製品版となる。
現在、MicrosoftはOffice 2013のCustomer Preview版を配布しているが、この製品版が登場するのは2012年末から2013年初頭にかけてとなるため、2012年11月時点で“Office 2013”の名称をつけた製品はWindows RTに導入するOffice 2013 RTのみだ。いくつかの機能制限はあるものの、タッチデバイス対応の操作メニューなど、Office 2013で採用する予定の新しい特徴を有している。Windows RTとその搭載デバイスとしてユーザーが注目するSurface RTが、“フル”のWindows 8を搭載するタブレットPCにどれほど近づいているのを大きく左右するのが、Office 2013 RTといってもいい。
Office 2013 RTには、「Word 2013 RT」「Excel 2013 RT」「PowerPoint 2013 RT」「OneNote 2013 RT」が付属する。それぞれ、“フル”Windowsで使えるOffice 2013に同名のアプリケーションが存在するが、それらと“RT”における主な制限事項は以下になる。
マクロやアドインプログラムをサポートしない以上に、OneNoteで音声記録ができないのは、Office 2013 RTのメインユーザーとして想定するタブレットデバイスの特性を生かせないことになる。今後改良する可能性があるとはいえ、現状のままならば、Office 2013 RTは、“簡易版Office”と認識しておくのがいいだろう。
なお、製品名称に「Home & Student」とあることからも分かるように、仕事ではなく個人が家庭で、または、学生が使うことを想定している。会社の業務用にWindows RTとOffice 2013 RTを利用する場合、別にライセンスが必要となることにも注意したい。
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