登場から8年目にして今なお人気絶頂の「iPhone」シリーズ。その2015年モデルとなる「iPhone 6s」と「iPhone 6s Plus」が9月25日に発売される。
iPhoneシリーズは2008年にiPhone 3G、2009年にiPhone 3GSが登場して以来、ずっと偶数年にモデルナンバーが繰り上がり、奇数年にはそのモデルナンバーに「s」を添えた「sモデル」がリリースされ続けている。
偶数年モデルでは数字とともに製品の形が大きく変わり、外観で勝負することになりがちだが、奇数年のsモデルは、見た目こそ同じながら、その分、中身が大胆に変わる「中身で勝負する」モデルだ。
例えば、iPhone 4sでは「Siri」、5sでは指紋認証の「Touch ID」が搭載されるなど、その後のiPhoneの流れを変える機能が搭載されており、こうした中身の違いが分かる“通”が好んで選ぶモデルとなっていた。
今回のiPhone 6sシリーズでも、3D TouchやLive Photosという今後のiPhone操作や表現に一石を投じる技術が採用されている。
こうした魅力的な新機能の影響もあり、sモデルは常に前年モデルの売り上げを上回る人気を誇ってきた(もっとも、単にiPhoneの売り上げがずっと右肩上がり、というだけの話ともいえる)。
そんなことを受けてか、最新のiPhone 6s/6s Plus(以下、iPhone 6sシリーズ)からは、「sモデル」であることを改めてアピールすべく、本体背面に初めて「s」の字の刻印が入った。
この刻印の重みに負けないように、iPhone 6s/6s Plusはかなり満足度の高い新製品に仕上がっている。
iPhone 6sシリーズを手にしたらまず試したいのが「3D Touch」だ。この機能は初期設定を終了して、ホーム画面が現れた瞬間から試すことができる。
ホーム画面に表示されるアイコンをどれでも選んで強く押し込む(プレスする)と、即座に手に振動が伝わる。Taptic Engineが生み出すこの振動の質が、これまでのiPhoneのバイブレーターで生み出していた単純な振動と違って、切り替えスイッチがプチっと切り替わるようなキレがある心地よさを感じさせる。
アップルはあいかわらず、こうした「ただ心地が良いから」という理由でついついしてしまう手遊びの演出がうまい。こうして生まれるスキンシップが製品への愛着を育んでいる。
もっとも、Taptic Engineの振動は、ただの反応であって3D Touchの本領はその先にある。『「iPhone 6s」を林信行が読み解く――これは“羊の皮をかぶった狼”である』でも書いたがおさらいしよう。
ホーム画面では、3D Touchの液晶を使ったプレス(強押し)操作は、クイックアクションを呼び出すために利用される。これまで通りの操作、つまりアプリを起動するときに行うタップ(=アイコンに触れる)や、アイコンの並べ替えをしたいときに行うホールド(=長押し)の操作も健在だ。
しかし、3D Touchならではの「プレス」操作を知っている人は、これを使うことでアプリを即座に使える状態で起動できる。
例えば「メッセージ」のアプリは、プレスするとクイックアクションのメニューに最近連絡を取った相手の一覧が出る。ここから名前を選べば、いきなりその人宛の新規メッセージが作成された状態で起動する。
「カメラ」をプレスするとメニューに、セルフィー、ビデオ、スローモーション、写真と4つの撮影モードが表示されるので、これを選べばその状態でカメラが起動する。
「メモ」では新規メモの作成、写真の撮影、そしてiOS 9から新たに追加されたスケッチの作成のいずれの状態で起動するかを選ぶことができる。
もちろん、これまで通り、アプリをタップで起動してからモードを切り替えたり、新規メッセージ作成の操作をしてもかまわない。しかし、慣れた人にとっては圧倒的に操作時間の短縮になり、より無駄なく意の向くままにiPhoneを操作できる。これが快感となる。
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