通路から男子用便器が丸見えとなっている大成中のトイレ。生徒の訴えで改善されることになった(亀岡市大井町)

通路から男子用便器が丸見えとなっている大成中のトイレ。生徒の訴えで改善されることになった(亀岡市大井町)

大成中のトイレの見取り図

大成中のトイレの見取り図

 「もし市役所にこんなトイレがあったら、“セクハラ”だと騒がれますよ」。先月27日に開かれた京都府亀岡市議会の中学生議会で、大成中(同市大井町)の生徒がトイレの改善を求めて桂川孝裕市長を追及する一幕があり、市教委は急きょ対応策を講じることになった。

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 校舎は鉄筋コンクリート2階建てで、1983年3月に建設。各階に生徒用トイレが計3カ所あり、女子生徒はすべて男子用トイレの前を通って、女子用に行く必要がある。男子用の間口は約1メートルと広く、女子からは男子の用を足す姿が丸見え。男女双方から「恥ずかしい」という声が上がっていた。

 質問に立った生徒は、3年と2年の生徒3人。普通に現状を訴えても「財政難」で却下されるとみて、作戦を練った。最初の質問で改修を強く要望したが、予想通り前向きな答弁は得られず、再質問。傍聴の市議や市職員に共感してもらおうと、市役所トイレとの格差を例に出し、「セクハラだ」と詰め寄った。

 中学生議会の後、2人の市議が同中を視察に訪れ、問題を認識した。市教委は35年もの間“セクハラ”トイレを見過ごしてきたが、ついに生徒の意見を無視できなくなった。「年内にパーティションを設け、通路から便器が見えないようにする」(教育総務課)としている。

 3人は「すぐ動いてくれるとは思わなかった。生徒が声を上げられる機会をもっと増やしてほしい」と喜んでいた。市幹部の答弁を想定し、用意周到に切り札を準備した生徒たちの作戦勝ち。本職の市議も顔負けの追及だった。