いわゆる一般的なイメージとは逆に、大きく太字で書かれていると新しい事柄は記憶に残りにくくなります。意外かもしれませんが、読みにくくて馴染みのないフォントのほうが、学習や記憶の定着を助けるというのです。

これは、「難しい概念を学習する時には、乗り越えなければならない精神的なハードルが多少あったほうが、より多くのことを学ぶ事ができる」という研究結果が根拠となっています。

Photo remixed from an original by jepoirrier.

 例えば、ある情報がとても読みやすいフォントで書かれていたとします(例:大きなサイズの「Arial」など)。すると、その情報を十分覚えたと過信してしまい、サラッとしか見ないようになってしまうのです

ところが、ちょっと読みにくいフォントで書いてある場合には(例:小さな「Comic Sans MS」など)、その情報をより注意深く読み、より深く考えるようになります

覚えやすさを調べるため、被験者に異なるサイズのフォントで書かれた言葉を箇条書きしたものを覚えてもらい、後でどれくらい覚えているかをテストしました。

テスト前、被験者は「大きな分かりやすい文字」で書いてある言葉は、反復学習するよりも記憶に残りやすいと考えていました。しかし、結果はフォントサイズは記憶には何の効果もないというものでした

何かを学習する場合には、困難なことが精神力を鍛え、簡単なことは自信(過信)しか生まないことが多いと、研究者が言っています。


もし何か勉強中のものがあって、その資料や書類が編集可能であれば、フォントを読みにくいものに変えてみると、頭に入りやすいかもしれません

もちろんそれだけではなく、「概要を作る」とか「答えがすぐに分かるヒントは極力使わない」とか「資料を作り直す」など、あらゆる方法で学習に対する努力をしてみてくださいね。

記憶の定着を向上させるには潔く寝ることが大切らしい」や「昼寝をすると本当に記憶力がアップするという実験結果」という過去記事もありますので、読みにくいフォントで学習した後はいったん寝るというあわせ技で、記憶力アップのシナジー効果を狙ってみてはいかがでしょうか?

Come On, I Thought I Knew That! | The New York Times

Melanie Pinola(原文/訳:的野裕子)