(2025/1/22 12:00)
家庭用スポンジ 豊富な種類
米スリーエム(3M)の日本での製造を担うスリーエムジャパンプロダクツ(東京都品川区、伊藤誠社長)の山形事業所(山形県東根市)は、3Mの世界約110拠点の中でも品種と量で最大級の規模を誇る。特に家庭用スポンジは約20種もの生産を手がけており、国内の小売店に並ぶ3Mブランド品のほとんどが山形県産だ。敷地内に不織布研磨材の生産ラインを併設していることを強みとし、品ぞろえの充実に貢献している。
家庭用スポンジの中には硬い部分と柔らかい部分の2層からなる製品があり、硬い方が不織布研磨材。小粒で無数の研磨材と接着用樹脂が繊維に絡み付いている。研磨材は3Mが米国での創業の頃から手がけていたこともあり、得意な製品の一つ。研磨材から派生した技術を現在もさまざまな製品に活用している。そのため敷地面積16万9206平方メートルの山形事業所には不織布研磨材の生産ラインがあり、同じ敷地で家庭用スポンジに製品化している。
2層構造の家庭用スポンジを作るには、不織布研磨材とスポンジを接着剤で合わせる工程がある。専用の生産ラインでは長い材料をくっつけて切断。最終形態にして一気に包装していく。1日当たりの生産能力は約6品種、10万個以上。状況に応じて流す品種を切り替える。家庭用のほかに業務用や浴槽用なども幅広く手がける。
そうした中、最近は品種が増えているという。かつては鍋に固着した焦げなどを削り取るように洗う強い機能性や、製品の鮮やかな発色が重要だった。ところが若年層を中心に柔らかく洗いたい需要が出てきた。そこで大きくて柔らかい研磨材粒子に極小の硬い粒子をまぶした「ハイブリッド粒子」で傷が付きにくい品種を発売。ほかにも泡立ちの良いものや、グレーなど落ち着いた色の品種の人気が出てきている。
家庭用スポンジは細かな気泡があるため体積の割に軽い。輸送費で不利になる場合もあり、同事業所は多品種の国内向け製造に注力している。
そんな同事業所の発祥は1970年。自動車や電子機器、建材などで使う製品も数多く手がけてきた。後藤聡事業所長は「(類似の製品を作る)3Mの世界中の工場が良い相談相手でもあり競合。情報交換をして切磋琢磨(せっさたくま)している」という。2024年6月には家庭用スポンジなどが山形県東根市のふるさと納税の返礼品になった。地域を代表する工場でもある。
(2025/1/22 12:00)
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