第50回発明大賞、本賞にショウナンエンジニアリング

(2025/3/7 05:00)

日本発明振興協会(石井卓爾会長)と日刊工業新聞社共催の「第50回(2024年度)発明大賞」に25件の発明が選ばれた。発明大賞は発明考案を通じて産業の発展や国民生活の向上に寄与した資本金10億円以下の中堅・中小企業や個人、グループに贈られる。表彰式は13日に東京都港区の明治記念館で開く。

発明大賞 本賞

磁線を活用し鉄粉をフィルターにする精密2次ろ過装置=ショウナンエンジニアリング(社長・佐澤昌治氏)

 工作機械で使われるクーラント液(冷却液)において、磁石を利用し精密に液中のゴミを取り除く技術を開発した。クーラント液を継続使用すると細かい金属粉が増え、加工精度を下げるため、定期的に切り粉を除去する必要がある。クーラント液が流れる流路の周囲に磁石を配置し、発生した磁力で切り粉のフィルターを流路内に作り出す。

小型化し、濾過に必要なエネルギー量を抑えた。さらに定期的なメンテナンスや部品交換が不要。(ショウナンエンジニアリング=鹿児島県曽於市)

発明大賞 東京都知事賞

大気成分の濃縮による農業用CO2供給装置=西部技研(開発本部本部長・井上宏志氏)

 ハウス栽培での農作物の収穫量向上のため、ビニールハウス内に二酸化炭素(CO2)を供給する装置。CO2の吸着剤を準備し、大気中のCO2を吸着させた後、温かい風を送ることでCO2を脱着。植物の生育に適した1000ppm(ppmは100万分の1)のCO2濃度になるようハウス内にCO2を供給できる。大気中のCO2を直接取り込むことで、脱炭素につながる。化石燃料を燃やしCO2を供給する従来法では、CO2の発生や夏場の廃熱が問題だった。(西部技研=福岡県古賀市)

発明大賞 日本発明振興協会会長賞

スマホ対応型軽量小型「水」総合管理システム=小松電機産業(社長・小松昭夫氏)

 クラウドを活用しスマートフォンやパソコンなどで上下水道の水位や流量などを遠隔監視や制御できる管理システム。軽量、小型で耐雷性に優れている。すでに設置されている制御盤のボックスをそのまま使うことができ、他社製品に交換用中板キットを組み込むことも可能。中身を入れ替えるだけで作業工数や工事費用を減らせる。自治体での遠隔技術研修もできる。インフラ更新時の費用を安く抑えられる。近年多発する災害復旧時に迅速な社会インフラの復旧作業につながる。(小松電機産業=松江市)

発明大賞 日刊工業新聞社賞

ダイカストのランナー加圧法による品質改善と生産性向上=ダイレクト21(会長・岩本典裕氏)

 アルミニウムを金型に注入し成形するアルミダイカスト加工で製品の品質を向上させる技術を開発した。溶けたアルミを金型の内部に充填した後、金型内部につづく通路にある加圧ピンを押し込むことで、従来の約4倍となる300メガパスカル(メガは100万)の鋳造圧力を実現。内部に発生し強度を弱める“巣”を押しつぶすことで、ダイカスト製品の品質を向上させた。溶けた金属の逆流を防ぐ機構も備える。市場には同様の装置はなく、世界初の製品という。(ダイレクト21=相模原市南区)

(2025/3/7 05:00)

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