★14日、立憲民主党は執行役員会で、夏の参院選鹿児島選挙区(改選数1)で自民党現職で前参院議長・尾辻秀久の三女朋実の推薦を決めた。朋実は立憲に入党しているが無所属での出馬となる。地元紙の報道などでは連合鹿児島会長・下町和三が「今は自民議員の2世というイメージが強い」、社民党県連合代表・川路孝は「参院選の自民公認候補予定者の公募にも手を挙げた方をすんなり支持できるかどうか」と言う。組織の柔軟性のなさを痛感する。まず政治家・尾辻秀久を県内の政界関係者は理解しているのだろうか。
★尾辻は県議を経て自民党参院議員。厚労相、党参院議員会長、参院副議長、参院議長を歴任。15年の自民党総裁選では野田聖子につき「野田は障がいを抱える息子を持ち、弱者に目を向けるようになった。私と同じだ。右翼の私は武士道が大事。武士道は弱者と共にある」と発言。思い出すのが07年にがんで亡くなった民主党参院議員・山本孝史と尾辻大臣の論戦だ。がん対策基本法と自殺対策基本法を激しい国会論争を経て成立させた。参院本会議場での山本の追悼演説に尾辻が立ち、06年5月の代表質問に触れ「全ての人の魂を揺さぶりました。私は今、その光景を思い浮かべながら、同じ壇上に立ち先生の一言一句を振り返るとき、万感胸に迫るものがあります」「山本先生はわが自由民主党にとって最も手ごわい政策論争の相手でありました」「あなたは参議院の誇りであります。社会保障の良心でした」とした。YouTubeの同演説は185万回の再生数だ。国の事業としたドミニカ共和国への日本人移民が苦難に見舞われた「ドミニカ移住者に対する特別一時金の支給等に関する法律」可決時にはドミニカに出向き首相・小泉純一郎の謝罪の書簡を読まず、移民の前で土下座してわびた。
★さて朋実は自民党の公募に落ち立憲に入党。それを批判するのは簡単だが、尾辻が自民党にいながら貫いた政治家としての思いや、与党議員でも間違っていたらわびることのできる覚悟を政治家として受け継ぐことが大切ではないか。自民党がその精神を嫌ったことに意味がある。(K)※敬称略