【サイズはS~8L】「協会ジャンパー」がユニクロ製に 仕掛け人の高崎親方に聞いた

日本相撲協会の親方衆らが着用する通称「協会ジャンパー」が、40年ぶりにフルモデルチェンジとなりました。

このオフィシャルジャケットは、ユニクロ製。なぜ、どういう経緯で新調したのか、仕掛け人の高崎親方(49=元幕内金開山)に聞きました。

大相撲

新しい協会ジャンパーを着た高崎親方(左)と、以前の協会ジャンパーを着た佐々木一郎。デザインや色が変わりました。高崎親方は5L、佐々木はM

新しい協会ジャンパーを着た高崎親方(左)と、以前の協会ジャンパーを着た佐々木一郎。デザインや色が変わりました。高崎親方は5L、佐々木はM

40年ぶりのフルモデルチェンジ

正式発表があったのは1月6日のこと。日本相撲協会とユニクロから、同時に情報が公開された。

ユニクロのリリースは、以下の通り。

ユニクロはこのたび、公益財団法人日本相撲協会と、オフィシャルスポンサー契約を締結しました。本契約は、2025年12月に財団法人設立100周年を迎える日本相撲協会の記念事業の一環として新たに結ぶもので、ユニクロは親方や職員の方々着用するオフィシャルジャケットを提供します。また、ユニクロのグラフィックTシャツブランド「UT」において、日本相撲協会と初めてコラボレーションした商品を今春に発売する予定です。

正式名称は「オフィシャルジャケット」とされたが、角界では「協会ジャンパー」で通じる。

単なる仕事着ではない。和装が基本の現役力士と、親方衆を区別する象徴でもある。

かつてエンジ色だった協会ジャンパーは、蔵前国技館から両国国技館に本場所を移転した1985年(昭和60年)に、紺色に変更となった。

引退し、まげを切る前の東関親方(元関脇高見山)。当時の協会ジャンパーは、エンジ色だった(1984年9月23日撮影)推定7L

引退し、まげを切る前の東関親方(元関脇高見山)。当時の協会ジャンパーは、エンジ色だった(1984年9月23日撮影)推定7L

日本相撲協会によれば、その後、2、3回はマイナーチェンジがあった。今回は色味も変わり、40年ぶりのフルモデルチェンジとなる。

一般には販売されない。体の大きい親方衆が着るため、サイズは「S、M、L、LL、3L、4L、5L、6L、7L、8L」と幅広い。

どの親方がどのサイズを着ているのか? 多くの親方衆が初めて着用した初場所初日、サイズを聞いて回った。

まずは、記者クラブ担当の音羽山親方(元横綱鶴竜)は4L。「去年、サイズダウンしました。(体重は)138キロ」。現役時代から約20キロ減ったそうだ。

宮城野親方(元横綱白鵬)は「以前は5Lだったけど、今は4L。体重は145キロ。体脂肪は24%ですが、筋肉はすぐには落ちないから、簡単には(体重は)減らないですよ」と教えてくれた。

昨年まで着用していた協会ジャンパー。音羽山親方(元横綱鶴竜、左)も宮城野親方(元横綱白鵬)ともに4L

昨年まで着用していた協会ジャンパー。音羽山親方(元横綱鶴竜、左)も宮城野親方(元横綱白鵬)ともに4L

まさかのキッズサイズ?!

複数の親方が出番を控える国技館内の警備室に向かった。

入り口付近で、間垣親方(元幕内石浦)にすれ違ったので、声をかけた。サイズはLL、体重は91キロまで減っていた。

間垣親方(元幕内石浦)。LL。「軽くて伸縮性がありますね。(体重は)91キロです」

間垣親方(元幕内石浦)。LL。「軽くて伸縮性がありますね。(体重は)91キロです」

警備室をのぞくと6人の親方がいた。

―中村親方(元関脇嘉風)、協会ジャンパーのサイズを教えてください

中村親方LLっす。

―いやいや、違うでしょう

中村親方4Lですね。

中村親方(元関脇嘉風)。LLではなく4L

中村親方(元関脇嘉風)。LLではなく4L

―千田川親方(元幕内徳勝龍)は

千田川親方XSです。

―いやいや、どんだけ伸ばしてもXSは入らないでしょう(笑い)

千田川親方6Lです。

―湊川親方(元大関貴景勝)はいかがですか

湊川親方キッズです!

しっかりと笑いをかぶせており、思わず吹いた。本当は5Lだそうだ。

高崎親方に聞きました

何人かの親方に聞くと、着心地については特に評判がいい。「軽い」「ストレッチ素材なので、着やすい」などの感想が多い。

そもそも、なぜユニクロで、なぜ新調となったのか。協会本部付(協会執行部)の高崎親方に聞いた。

―このプロジェクトは、いつごろから始まったのですか

高崎親方もともと、私がこういうことしたいという思いがあったんですよ。執行部に入ってもう約10年になりますが、月曜日から金曜日まで毎日、これを着て業務にあたるわけです。毎回、クリーニングに出していると、どこかがほつれたりして、直しながら使ってきました。前々から、違うものを着たいなと企画を温めていました。

西岩親方(元関脇若の里)。4L

西岩親方(元関脇若の里)。4L

―それがこの時期に完成に至りました

高崎親方前のジャンパーは、夏は暑い。もっと機能性に優れたものがいいと思いながら、タイミングを計っていたんですよ。今年100周年ですから、去年の3月ごろに、これはいいタイミングじゃないかなと思ってチャレンジしました。

―ユニクロとの縁はどういうきっかけですか

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スポーツ

佐々木一郎Ichiro Sasaki

Chiba

1996年入社。2023年11月から、日刊スポーツ・プレミアムの3代目編集長。これまでオリンピック、サッカー、大相撲などの取材を担当してきました。 X(旧ツイッター)のアカウント@ichiro_SUMOで、大相撲情報を発信中。著書に「稽古場物語」「関取になれなかった男たち」(いずれもベースボール・マガジン社)があります。