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国民の利益につながる宇宙ビジネスを

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三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、韓国の人工衛星を載せた国産大型ロケット「H2A」の打ち上げに成功した。

海外から受注した衛星の打ち上げは今回が初めてとなる。国民の理解を得ながら、宇宙ビジネスを広げる足掛かりとしたい。

国内の宇宙機器産業の市場規模は約2700億円。これに対し、世界の宇宙産業は13兆円の市場規模があり、年率10%を超えるペースで伸びている。

通信・放送や地球観測など衛星の利用は新興国にも広がっている。2018年までの10年間の衛星打ち上げ需要は260機と、08年までの10年に比べて2倍以上に増える見通しだ。この需要を取り込みたい。

そのためにはまず、宇宙ビジネスを国家戦略として推進することへの国民の合意が前提となる。

科学技術中心の宇宙開発を安全保障や産業振興に広げることを目的とした宇宙基本法が08年に成立し、首相を本部長とする宇宙開発戦略本部が発足した。体制は整えたが、国民の理解が深まっているとはいえない。

韓国の衛星打ち上げは実績作りにはなったが、H2Aの打ち上げには今後も官需による下支えが不可欠だ。巨額の国費を投じて宇宙ビジネスを育てることで国民が得る利益や、産業への波及効果をわかりやすく示さねばならない。

H2Aは今回で連続15回打ち上げに成功した。米欧のライバルに肩を並べる高い信頼性の一方で、打ち上げ費用は割高だ。新たな受注には製造費の低減などコスト競争力を高める努力も必要だ。

そのうえで、官民が連携して宇宙の平和利用の経験をアジアなどの新興国に伝え、宇宙空間を共同で利用する仕組み作りで協力していくべきだ。

宇宙開発もインフラ輸出のひとつと位置付け、自国での衛星開発や運用が難しい新興国に衛星情報の利用方法や地上設備、人材育成などを包括的なパッケージで売り込んでいくことが大切だ。

日本政府はベトナムに納入する予定の日本製衛星を使った災害監視システムを、東南アジア諸国連合(ASEAN)の他の加盟国にも提案している。各国が持つ衛星システムを連携させれば広域での防災対応が可能になる。

宇宙利用で社会や生活がどう変わるのか。提案力が宇宙ビジネスの開拓には欠かせない。

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