「すき家、深夜の1人勤務解消を」 第三者委が提言
ゼンショー「是正すべきは是正」
ゼンショーホールディングス(HD)が運営する牛丼店「すき家」の労働環境改善策を提言する第三者委員会は31日、過重労働の実態と改善のための提言をまとめた報告書を同社に提出した。深夜の1人勤務の早期の解消や経営陣の意識改革を強く求めている。同日記者会見したゼンショーHDの小川賢太郎会長兼社長は「真剣に受け止め、是正すべきものは是正する」と述べたが、経営を巡る環境は厳しい。
全国に約2000店あるすき家は、アルバイトが採用できず人手不足が深刻化。3月中旬には138店が一時休業に追い込まれた。残る社員やアルバイトの負担が急増、ネットなどで過酷な労働実態が話題になった。
このため、小川会長兼社長は4月28日、久保利英明弁護士を委員長とする第三者委を設置。改善策を自ら求めた。
第三者委は人手不足が特に深刻だった3月の一般社員の残業時間が、平均109時間に達するなど「法律で定めた労働時間を大幅に超える過重労働が常態化していた」と指摘。月500時間以上も働いたり、2週間帰宅できなかったりした従業員もいたとして「社員の生命、身体、精神の健康に深刻な影響を及ぼしていた」と批判した。
また、久保利委員長は「(長時間労働に対する)経営幹部の意識を変えなければいけない」と企業風土の刷新が不可欠との考えも示した。同社は2011年10月に「防犯対策の強化へ深夜に1人で勤務する体制を順次解消する」と発表したが、実際には解消されていなかった。
第三者委はこうした点を問題視。「長時間労働を絶対的に禁じるルール」や「社外の人材を中心にした監視機関」が必要と提言した。
小川会長兼社長は記者会見で、これまでの取り組みを改めて説明した。6月には7つの地域ごとに会社を設立し、すき家各店が抱える問題を早く把握できる体制に改めたと強調。ゼンショーHDは、この3カ月でアルバイトは約5千人増え、一般社員の残業時間は7月で47時間と過重労働は減少しつつあるとした。
しかし、深夜1人勤務の解消については具体的な時期を示しておらず、経営幹部の意識改革の具体策もこれから。人手不足が深刻になるなか、外食最大手は大きな課題を背負っている。
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