米中サイバー合意に懐疑的 米国家情報長官「行動を注視」
【ワシントン=芦塚智子】クラッパー米国家情報長官は29日、上院軍事委員会で証言し、米中首脳会談で両国がサイバー攻撃による情報窃取に関与しないと確認したことについて「我々は中国の行動を注視しなくてはならない」と述べ、合意の実効性に懐疑的な見方を示した。
合意によって中国からのサイバー攻撃がなくなると楽観しているかとの質問に「していない」と明言した。合意には具体的な罰則が規定されていないと指摘し、対抗策として経済制裁を選択肢の一つに挙げた。ただ「我々もサイバースパイ活動は実施している」と述べ、報復には慎重な検討が必要との考えを示した。
米国の国家安全保障と経済に対するサイバーの脅威は「頻度、規模、洗練度、影響の深刻度とともに増大している」と警告した。同時に証言したロジャーズ国家安全保障局(NSA)局長兼サイバー軍司令官は、米国に対するサイバー攻撃で量的規模が最も大きいのは中国だと説明。能力が最も高いのはロシアだと述べた。