「ネットの中立性」撤回方針に一斉抗議 米ネット大手
【ニューヨーク=清水石珠実】米ネット大手は12日、米連邦通信委員会(FCC)による「ネットの中立性」の規制撤廃の動きに対し、一斉に抗議活動した。ネットの中立性は、インターネット接続業者に、ネット上を流れるすべての情報を平等に扱うことを求めたもので、2015年にオバマ前政権下でFCCが導入。トランプ政権下で就任したアジット・パイ新委員長が5月、撤廃の方向で手続きを始める方針を明らかにしていた。
抗議活動には、動画配信サービスのネットフリックス、ネット通販のアマゾン・ドット・コム、アルファベット傘下でネット検索を手がけるグーグルなどが参加した。
ネットフリックスは表紙画面に接続の待ち時間が長いときに出る円形の記号を表示。撤廃されるとネット接続業者による不当な配信速度の遅延などが起きうるとして、ネットの中立性の維持を訴えた。グーグルはブログで「開かれたネットのおかげで、大企業から新興企業までが平等に競争することができる」との見解を示し、利用者に対してFCCにネットの中立性を支持するコメントを寄せるように求めた。
フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は「フェイスブックは(ネットの中立性の)規則を強く支持する」と表明し、「ネットの中立性を守るために議会のメンバーなどと協力する準備がある」と述べた。
ネットの中立性は、ネット接続サービスを提供する企業に(1)合法的なコンテンツの流れを不当に遮る(2)通信速度を遅くしたり解像度を下げたりする(3)追加料金を払った一部大口顧客を通信環境で優遇する――などの行為を禁じた。ネット回線を「公共財」と扱う裁定で、CATV・通信会社からは「規制強化で投資意欲をそがれた」との批判の声が上がっていた。
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