社名検索で「詐欺」 グーグルの削除認めず
自社名を検索すると「詐欺」などと表示され名誉が傷つけられたとして、東京都内のインターネット関連会社が米グーグルに検索結果242件の削除を求めた訴訟の判決が31日、東京地裁であった。鈴木正紀裁判長は「検索結果が真実でないとは認められない」として削除を認めず、原告側の請求を棄却した。
鈴木裁判長は、判決理由で「検索結果が真実でない場合や公益を図る目的でない場合で、重大で回復困難な損害が生じる恐れがあれば、削除が認められる」という名誉毀損を理由に削除を命じる際の要件を示した。
原告側は「詐欺まがいの事業はしていない」として検索結果が真実でないと訴え、グーグル側は国民生活センターに相談事例があることを根拠に「真実であり、明白な権利侵害はない」と反論していた。
判決によると、原告の社名や社長名をグーグルの検索画面に入力すると「だまされた」「詐欺師」などと表示された。検索結果は先行して申し立てられた仮処分ですでに削除されている。
原告側代理人の神田知宏弁護士は「『重大で回復困難な損害』を具体的に立証するハードルは高い。削除を求める側にとって厳しい判断の枠組みが示された」と話した。
2017年1月の最高裁決定は逮捕歴の削除請求を巡り、「プライバシーを公表されない利益が、サイト側の表現の自由より明らかに優越する場合だけ削除できる」との基準を示した。
今回の訴訟では、逮捕歴など個人のプライバシーではなく、名誉毀損を理由にした削除の可否が争われた。