イスラエル、シリアのイラン拠点空爆、11人死亡
【カイロ=飛田雅則】イスラエル軍は21日、シリアの首都ダマスカス近郊にあるイランの関連施設を空爆したと発表した。シリア人権監視団(英国)によると、シリア人2人を含む11人が死亡した。イランはシリアのアサド政権を支援するため同国に革命防衛隊の要員を駐留させており、イランを敵視するイスラエルは警戒を強めている。
イスラエル軍は、攻撃を20日から21日未明にかけて実行した。攻撃の前にシリア側からイスラエル側にミサイルが発射されており、それに報復した。イラン革命防衛隊の精鋭とされる「コッズ部隊」の武器庫や訓練施設を攻撃したもようだ。
イスラエルのネタニヤフ首相は21日「わが国に危害を加えようとする誰に対しても攻撃する」と語った。同国政府は、米軍がシリア撤収を開始したことで、米国と対立するイランの行動の自由が広がり、安全保障上の脅威が高まる事態につながることを懸念している。
イスラエルは従来、シリアのイラン拠点への攻撃を実施しても公式の確認を避けてきた。ところが最近ではイスラエル軍高官が、シリアのイラン施設を対象に2018年には約2千発の爆弾を落としたと米メディアに明かした。米軍の撤収開始後の13日にはダマスカスの空港にあるイランの武器庫を攻撃したことも公表した。イランの勢力拡大を軍事力で阻む姿勢を鮮明にしている。