未上場スタートアップ上位20社、企業価値計1兆円超え
未上場のスタートアップ企業が成長を続けている。日本経済新聞社が2019年の「NEXTユニコーン調査」で企業価値を推計したところ、ランキング上位20社の合計は18年より2割増え、1兆円を超えた。人工知能(AI)や、金融とITが融合したフィンテックの分野で伸びが目立つ。技術革新をけん引しているが、価値を押し上げてきた投資マネーがしぼむ可能性も出てきている。
日本ベンチャーキャピタル協会の協力を得て、創業20年内の未上場企業を選び、
上位20社の合計は22%増の1兆1877億円となった。首位のプリファード・ネットワークス(東京・千代田)など3社が企業価値10億ドル(約1100億円)以上のユニコーンとなった。18年は同社1社だけだった。
プリファードは深層学習の技術を使い、トヨタ自動車と自動運転技術などを開発している。JXTGホールディングスと石油プラントの自動制御を研究するなど着実に協業先を広げており、評価上昇の要因となった。
素材分野からTBM(同・中央)が2位に入った。石灰石を使い、買い物袋などのプラスチック代替素材を開発した。中国で20年中にも海外初の工場建設に着手する。
4位のfreee(同・品川)は自動で会計処理するソフトウエアを提供し、人手不足の企業を支えている。フィンテック企業は上位20社に7社入り、金融サービスの刷新に期待が大きい。
企業価値が100億円を超す企業は3割増え、63社となった。ヘルスケアなどでもユニコーン予備軍の厚みが増した。
米調査会社のCBインサイツによると、米国にはユニコーンが約200社あり世界の半分を占める。英国やインドにも数十社生まれ、日本の企業数は見劣りしている。
現在のスタートアップブームはデジタル革命が進んだ10年代に始まった。リスクを取れない大企業が、イノベーションをけん引する新興勢への投資を拡大した。
今後は投資マネーの動きが焦点となる。スタートアップブームの一因に世界のカネ余りもあるからだ。ジャパンベンチャーリサーチによると日本の未上場企業の18年の資金調達は4211億円で、5年前の5倍だった。
米国ではスタートアップへの投資が14兆円あり、過剰に資金が集まるバブルの色が濃い。象徴がシェアオフィス運営の米ウィーカンパニーで、上場を巡る混乱により資金繰りに窮した。投資家は選別を強めている。
世界の投資マネーが警戒に動けば、日本のスタートアップの企業価値が下がるケースも増える。新興勢は確かな技術や事業モデルで幅広い産業を革新させられるかどうかの節目を迎えている。
原則として直近の第三者割当増資における株式の発行価格に、ストックオプション(新株予約権)などの潜在株式を含めた発行株式の総数を掛けて算出した。一部企業は株式譲渡による価格を使った。増資などの後の市場環境や業績の変化による価値の変動は考慮しない。登記簿情報取得でグラファー、価値推計でケップルの協力を得た。
(注)一部に事業会社や投資会社を含む。
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