米、国際刑事裁検事に制裁 国務長官が発表
【ワシントン、ブリュッセル=共同】ポンペオ米国務長官は2日の記者会見で、アフガニスタンでの戦闘に加わった米兵らの戦争犯罪捜査に携わる国際刑事裁判所(ICC)のベンスダ主任検察官らに制裁を科すと発表した。これに対し、ICCは同日「法の支配に対する深刻な攻撃だ」として制裁を非難する声明を発表。両者の対立は一層激しくなりそうだ。
ポンペオ氏は「ICCは残念ながら米国人を標的にし続けている」と強調。ベンスダ氏らを支援する個人や組織も制裁対象になる可能性があるとけん制した。ベンスダ氏らは米国への入国を制限され、米国内の資産も凍結される。
ICCは声明で「国際司法機関とその職員に対する(制裁という)強圧的行為は前例がない」と指摘。「ICCの独立性や、重大犯罪に対処する業務を妨害する新たな試みだ」と訴えた。
ICC締約国会議の権五坤議長(韓国)も「条約に基づいて設置された国際機関への容認できない措置」との声明を出した。
ICCは3月、米兵らの捜査を容認。予備的捜査を行ったベンスダ氏は米兵や米中央情報局(CIA)要員が拷問やレイプなど戦争犯罪を行った疑いが強いとみている。
米国はICCに加盟しておらず、自国民への捜査や訴追は主権侵害の恐れがあると反発。トランプ大統領は6月、捜査などに関与したICC当局者への制裁を可能にする大統領令に署名した。