北陸新幹線巡り談合の疑い 鉄道・運輸機構など捜索
東京地検特捜部と公取委
2015年春の開業を目指す北陸新幹線(長野―金沢間)の融雪設備工事の入札で談合をしていた疑いが強まったとして、東京地検特捜部は4日、複数の設備工事会社や、新幹線の建設などを手掛ける発注元の独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」の本社(横浜市)などを独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで家宅捜索した。
鉄道・運輸機構側から予定価格が漏れていた疑いがあり、特捜部は公正取引委員会と協力し、官製談合防止法違反も視野に不正入札の全容解明を目指す。
機構の本社や東京支社(東京・港)には午前9時ごろから、特捜部などの係官が入った。設備工事会社の新日本空調など数社も捜索を受けた。
関係者によると、設備工事各社の担当者は機構が11~12年に発注した北陸新幹線の融雪設備工事を巡り、入札前に話し合って落札予定企業を決めるなど受注調整をした疑いが持たれている。
公取委は昨年9月、設備工事各社や機構の東京支社を独禁法違反容疑で強制調査。特捜部も1月に各社の担当者や機構職員らの一斉聴取を始めた。企業側の担当者の多くは公取委の調べに談合を認め、一部は入札価格を機構側に相談していたと説明。「入札前に発注元から予定価格を聞いた」とも話しているという。機構の担当者も予定価格について「もっと下」などと企業側に示唆したことを認めているという。
線路脇で雪を溶かすパネルなど融雪設備工事の入札は11~12年に13件あり、落札総額は約258億円。各社は6億~32億円で落札し、うち5件の落札率は99%を超えた。
公取委の強制調査を受けたのは高砂熱学工業や三機工業、朝日工業社、ダイダン、大気社、新日本空調、東洋熱工業(東京・中央)など13社。公取委は容疑が固まり次第、検察当局に刑事告発する方針。