ニュースも課金時代へ ヤフーと朝日新聞が有料配信
ヤフーは23日、ニュースサイト「Yahoo!ニュース」で有料記事の配信を開始、第1弾として朝日新聞と連携した有料ニュース配信サービスの提供を始めた。料金は月額380円で、購読者は月間約300本の有料記事を閲覧できる。国内最大のニュースサイトが課金サービスに踏み切ったことで、ネットでは無料が当たり前だった記事配信のあり方が変わりそうだ。
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Yahoo!ニュースは、新聞社など約120社、約180媒体と契約する国内最大のニュースサイト。月間49億7000万ページビュー(2012年8月)を誇る。これまではすべての記事を無料で配信していたが、各媒体から有料で提供されている質の高い記事もラインアップに加えることで、新規ユーザー獲得と、既存ユーザーへの新たな付加価値の提供を目指すとしている。
1日平均150本の約1割をヤフー向けにセレクト
ユーザーや記事を提供するメディア企業へのショーケースとして、まずは朝日新聞の有料記事配信サービス「朝日新聞デジタルSELECT on Yahoo!ニュース」を開始した。
ヤフーのユーザーは、月額380円(Yahoo!プレミアム会員は月額315円)を支払うと「購読して続きを読む」という表示が消え、前文の先を含めた記事全文が閲覧できるようになる。決済方法は「Yahoo!ウォレット」のみ。
朝日新聞は、11年5月より開始した有料ニュースサイト「朝日新聞デジタル」が配信する1日平均150本の記事から約1割にあたる10~15本ほどをセレクトし、同サービス向けに配信する。新事業を担当する朝日新聞社デジタル事業本部の洲巻圭介氏は「人気コラムの天声人語や社説に加え、各種特集や連載など読み応えのある記事を中心に選んでいく」とする。
一方、昨年10月からYahoo!ニュース向けに配信している無料記事の提供は今後も継続する。23日午後6時の時点で、同日に朝日新聞がヤフー向けに配信した記事は54本。うち18本が有料記事だった。
「ニュースも課金」時代の流れが加速
ヤフーは「今後、雑誌含めてさまざまな媒体を対象に有料サービスを充実させていきたい」(広報)としており、有料の記事配信に意欲的だ。「すでに記事提供を受けている各社と有料サービスの話し合いを始めている」(同)
朝日新聞も「まだ具体的に有料記事の提供先が決まっているわけではないが、ヤフー以外での『朝日新聞デジタルSELECT』の展開も視野に入れている」(洲巻氏)とする。「本家」である朝日新聞デジタルの有料会員数は約9万人。これとは別に、有料記事を広く提供していくことで、ネットでの収益化を急ぐ。
ヤフー、朝日新聞の両社ともに購読者数など目標を明らかにしていないが、国内最大のニュースサイトの集客力は、それなりのインパクトをもたらすと見られる。両社ともに組む相手を限定しておらず、「ニュースも課金」時代の流れが加速するのは間違いなさそうだ。
(電子報道部 井上理)