「円滑化法」利用後の倒産が急増、7月過去最多に 帝国データ
「中小企業金融円滑化法」の利用後に倒産する企業が急増している。民間調査会社の帝国データバンクが8日発表した全国企業倒産集計によると、7月は前年同月比2.4倍の41件あり、集計を始めた2009年12月以降で最も多くなった。円滑化法は中小・零細企業の倒産を抑え込んできたが、適用されても収益を立て直せない事例が拡大。来年3月に期限切れを控え、資金繰り破綻が今後さらに増えるとの見方が出ている。
円滑化法は、返済の猶予や金利減免といった要請が中小企業からあった場合に、負担を軽減する努力義務を貸し手の金融機関に課す法律。今年3月で終了する予定だったが、政府は昨年暮れに1年延長を決めた。
帝国データによると、円滑化法による資金繰り緩和措置を利用後の7月の倒産件数は、これまで最多だった今年1月(32件)を上回った。猶予中に業績を回復できず、販売不振などで倒産に追い込まれた「不況型」が多い。前月比でも2.6倍と急増し、同社は「来年3月の終了を見据えて金融機関の(貸出先)選別が始まってきている」と指摘する。
東京商工リサーチは、円滑化法を活用した中小企業の数を30万~40万社と推定。うち約2割に当たる5~6万社程度で金利を正常に払えていないと分析し、倒産件数が増勢を強める可能性に警鐘を鳴らしている。〔日経QUICKニュース(NQN)〕