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根回しなき「脱原発依存」 菅流手法に民主冷ややか

野党は賛否割れる

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菅直人首相が13日の記者会見で表明した「脱原発依存」の方針が14日、与野党内で波紋を広げた。民主党内では、重要政策を唐突に発表する手法に批判が集中。執行部は首相の下で議論を始めることに一様に冷ややかな態度を示した。野党は自民党が「延命工作だ」と批判を強める一方、「脱原発」を掲げてきた共産、社民両党は理解を示し、評価は分かれた。

「民主党の方針ではない」。岡田克也幹事長は14日の記者会見で、首相発言が「首相個人の思い」であることを繰り返し強調した。今後の議論については「現首相の下か、新首相の下で行うかは政府が決めることだ」と述べた。

政府側も枝野幸男官房長官が記者会見で首相発言について「首相の遠い将来の希望だ」と解説。「率直に言って原発に依存しない社会をつくっていくにしても数年単位の話ではない」とも述べた。

民主党執行部は冷ややかな対応で足並みをそろえる。玄葉光一郎政調会長は「原発の依存度を徐々に減らしていくことはほぼコンセンサスが得られている」と理解を示したが、政策調査会で議論する予定はない。

執行部のこうした態度は、根回しなく重要政策を発表する首相の手法に対する党内の批判に予防線を張る狙いがある。

同日の前原誠司前外相のグループ会合では、出席者から「党にまったく相談がなかった。どのような議論に基づいた発言なのか」などと不満の声が相次いだ。これに仙谷由人官房副長官は「実現する手段がないのに願望を語っては駄目だ」と応じた。小沢一郎元代表に近い原口一博前総務相ら佐賀県連のメンバーは同日、首相を訪れ九州電力玄海原発の再稼働を巡る混乱を抗議した。

福島第1原発事故以降の
エネルギー政策を巡る各党の姿勢
民主党
首相は電力の原発依存度を2030年までに53%に高めるエネルギー基本計画を白紙で見直す意向示すが、党の方針は未定
自民党
8月上旬に論点取りまとめの方針。将来的に原子力への依存度を引き下げる方向
公明党
自然エネルギーの拡充と省エネの強化で将来的に「原発ゼロ」を目指す
みんなの党
原子力依存度を段階的にゼロに。電力確保は送発電分離など電力自由化で対応
共産党
今後10年以内の原発撤退計画の策定を政府に要求。電力消費量の10%削減を主張
社民党
原発新規立地の凍結を柱とする「脱原子力アクションプログラム」を4月に策定

野党各党のスタンスは分かれている。

自民党の谷垣禎一総裁は記者会見で、首相を「自らの延命をはかろうとする国民不在のパフォーマンス。電力不足への国民不安を助長する」と批判。原発増設を推進してきた同党は批判一辺倒にもなれない。今後、党の総合エネルギー政策特命委員会で検証する。

公明党は、原発依存度を段階的に引き下げる政策の方向では共通するが、首相が工程表を示していない点を「いつどのように実現するかが不明確だ」(山口那津男代表)と批判した。みんなの党も原子力の依存度を徐々に下げて最終的にゼロにする政策では同じ。ただ渡辺喜美代表は首相方針を「政権浮揚の思いつきだ」と切って捨てた。

脱原発を訴える各党は首相方針に理解を示した。共産党は志位和夫委員長が首相発言を「前向きな変化だ」と評価。ただ「期限や計画を語っていない」と注文を付けた。社民党の福島瑞穂党首は「最後まで脱原発に向かって力を振り絞ってほしい」と首相を擁護した。

首相を一貫して批判してきた西岡武夫参院議長は会見で「産業空洞化を進めて日本の雇用はどうなるのか」との懸念を表明。首相の手法を「独裁者気取りだ」と断じた。

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