首相、新幹線売り込み 日タイ首脳会談で
【バンコク=佐藤賢】東南アジア3カ国歴訪中の安倍晋三首相は17日、2番目の訪問国タイのバンコクに到着し、インラック首相と会談した。安倍首相は「タイのインフラ整備に貢献したい」と表明。バンコクと地方都市を結ぶ高速鉄道建設の日本企業の受注獲得へ自ら売り込んだ。アジア新興国の成長力を取り込む狙いで、インフラ整備で日本企業が現地に進出しやすくなるように後押しする。
両首相は貿易・投資の拡大で一致。洪水対策や鉄道建設、人工衛星、情報通信分野でのインフラ整備で協力することで合意した。高速鉄道については安倍首相が新幹線を紹介し、インラック首相は2012年の来日時に九州新幹線に試乗したことに触れ「興味を持っている」と語った。
タイは現在、北部のチェンマイ県などに向かう高速鉄道4路線の敷設を計画。総事業費は4千億バーツ(約1兆円)を見込み、事業者選定へ国際入札を実施する予定だ。安倍首相はインラック首相に九州新幹線を描いたイラストパネルを贈呈した。
「成長と経済基盤の強化に資する外交」を掲げる安倍政権は、政府開発援助(ODA)を活用してアジア各国の社会基盤や工業団地の整備を加速させる考えだ。16日の日・ベトナム首相会談では、日本企業が受注している原子力発電所の建設をめぐり協力を確認。安倍首相は火力発電所や道路建設のために新たに5億ドルの円借款を供与する方針を伝えた。