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八ツ場ダムの建設再開 民主「反対だが容認」

政権にしこり残す

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民主党は23日の政府・民主三役会議で、八ツ場ダム(群馬県長野原町)の建設再開を事実上容認した。前原誠司政調会長は「党として2012年度予算案への本体工事費計上に反対する」と伝える一方で、最終的な判断を政府側にゆだねた。09年衆院選マニフェスト(政権公約)の方針転換にあたって、野田佳彦首相や輿石東幹事長らが乗り出す場面はなく、調整力不足が露呈した。

政府・民主三役会議は1時間20分の議論のほとんどを八ツ場問題にあてた。前原氏に加え、輿石氏も「反対は党としての意思だ」と表明。予算執行については(1)利根川水系の河川整備計画を作成する(2)ダム建設予定地域の生活再建を支援する法案の次期通常国会提出を目指す――などとする「官房長官裁定」を踏まえることを確認した。

今回の政府・民主三役会議の確認について、国土交通省は「法案の成立は条件になっていない」として、来年度中に本体工事に着手できるとみている。河川整備計画も早期にまとめる考えだ。

前原氏は記者団に「政府の考え方を変えるには至らなかった」と指摘。「政権交代の理念が骨抜きになった。責任を感じる」とも語った。党内には「責任をとって政調会長を辞めるべきだ」との声もあがっているが「キャッチャーとして政権を支えることには変わりはない」と辞任を否定した。

前原氏が八ツ場ダム問題にこだわったのは、自身が政権交代直後の09年に国交相に就任した際、公約実現に向けて建設中止を表明したため。公約の最大の柱だった「政治主導」が「官僚主導」に変質しつつあるという危機感もあったようだ。

民主党では国土交通部門会議の八ツ場問題分科会と部門会議が数回にわたって会合を開き、ダム建設の根拠となる利根川の最大流量の算出根拠が明確でないなどの見解をまとめ、政調役員会で政府との調整を前原氏と松崎哲久部門会議座長に一任した。前原氏は21日、藤村修官房長官に「党が指摘した疑問点が明確にならない限り、本体工事の着工は認められない」と申し入れた。

だが地元自治体はこぞって建設再開を求めた。国交省の有識者会議の検証を経た結果を覆す前原氏の主張に、執行部内からも積極的な賛同は得られなかった。

輿石氏は23日の政府・民主三役会議で「政調会長だけの責任にしてはいけない」と、前原氏をかばってみせたが、それまでは静観し続けた。就任時に、重要な政策決定について「政調会長の了承を原則とする」と表明した首相も、国交省と対立した前原氏を後押しすることはなかった。

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