タイ総選挙、タクシン派が第1党へ 政権交代へ連立工作
【バンコク=野沢康二】下院解散に伴うタイ総選挙(定数500)が3日投開票され、汚職罪で実刑判決を受け国外逃亡中のタクシン元首相派の最大野党、タイ貢献党が躍進し、第1党となるのが確実になった。低所得者層や農民の支持を受ける同党が議席の過半数を占め、タクシン派が約2年半ぶりに政権を奪回すれば、元首相の末妹インラック氏(44)が同国初の女性首相に就く。
貢献党は連立工作に入るが、元首相の復権に動けば、富裕層や都市住民が支持基盤の反タクシン派の反発は必至。両勢力がデモなどを繰り返すタイ政治の混迷が長引く可能性もある。
タイ選挙管理委員会のまとめでは、開票率約63%の時点の予想で、タクシン派の貢献党は255議席を獲得。富裕層などが後押ししたアピシット首相(46)率いる民主党は164議席にとどまる。
貢献党はタクシン氏らを恩赦する構え。元首相が帰国して政治力を直接振るうことになれば、背後に国軍が控えるとされる反タクシン勢力の反発は避けられない。
タイでは国軍が2006年にクーデターでタクシン首相(当時)を失脚させて以降、政治が混乱。08年末に反タクシン派が推すアピシット政権が成立すると、タクシン派が反発し、10年に首都バンコク中心部を2カ月間占拠する大規模デモを展開、治安部隊と衝突して90人以上が死亡する事態に発展した。