米、北朝鮮と駆け引き激化 グアムに迎撃ミサイル
【ワシントン=中山真】ヘーゲル米国防長官は3日、軍事挑発をちらつかせながら米国などへの威嚇を続ける北朝鮮について「現実の明白な危険と脅威となっている」と語った。北朝鮮の弾道ミサイルの脅威に対処するため国防総省も同日、米領グアムに最新鋭の迎撃ミサイルシステムを数週間以内に配備すると発表。西太平洋地域の戦略拠点の防衛能力を高め、北朝鮮をけん制する。
国防長官は大学の講演で日本や韓国だけでなくグアムの米軍基地やハワイ、米本土西海岸への直接の脅威となっているとの見方を示したうえで「深刻に受け止めなければならない」と強調した。
国防総省がグアムに配備するのは「戦域高高度防衛ミサイル」(THAAD)と呼ばれるシステム。弾道ミサイルが軌道の最高点を過ぎ、着弾する最終段階に入った時点で撃ち落とす。日本に配備されている地上配備型のPAC3よりも命中精度が高く、地上への被害が少ないという。同システムのグアム配備は初めて。
今回の配備について同省は「北朝鮮の弾道ミサイルの脅威に対する地域の防衛能力を高める予防措置」と説明。そのうえで「米国は北朝鮮の挑発行為から自国の領土と同盟国、国家の利益を守るために万全を期す」と強調した。
3月には北朝鮮が進める核・ミサイル開発を念頭に米本土のミサイル防衛能力を50%増強する方針を発表している。欧州のミサイル配備計画を縮小する一方で、アラスカ州に迎撃ミサイル14基を追加で配備する。追加配備は2017年度までに完了する。
米国家安全保障会議(NSC)のヘイデン報道官は3日夜、北朝鮮が核兵器による作戦の決定を米側に通告すると表明したことを非難する声明を発表した。「北朝鮮は挑発的な威嚇をやめ、国際的義務を順守することに集中すべきだ」と述べ、挑発の即時中止を求めた。同時に「北朝鮮の挑発は国際社会からのさらなる孤立しか招かず、経済発展という目標を遠のかせる」と強調した。